化学機械メーカー「大川原化工機」のえん罪事件をめぐり会社の社長らが賠償を求めた裁判で、東京都と国が最高裁に上告を断念したことがわかりました。捜査の違法性を認め、都と国におよそ1億6600万円の賠償を命じた東京高裁の判決が確定することになります。 神奈川県横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長ら3人は、軍事転用できる噴霧乾燥機を中国などに不正輸出したとして逮捕・起訴されましたが、初公判の直前に起訴が取り消されました。 無実が明らかとなった大川原社長らは東京都と国に賠償を求める訴えを起こし、東京高裁は先月28日、警視庁公安部と東京地検の捜査の違法性を認め、あわせておよそ1億6600万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。 最高裁への上告期限のきょう(11日)、東京都の小池百合子知事は先ほど、記者団の取材に応じ、「警視庁において、検討した結果、上訴しないという結論に至ったと聞いております」と東京都として最高裁に上告しない方針を明らかにしました。 また、原告側の代理人弁護士はさきほど、国側の東京地検も「上告を断念したと連絡があった」と明らかにしました。 捜査の違法性も認め、賠償を命じた東京高裁判決が確定することになります。 この事件をめぐっては、大川原社長とともに逮捕・起訴された相嶋静夫さん(当時72)が勾留中に見つかった胃がんが原因で亡くなっていて、大川原社長らはおととい(9日)、警視庁などに要望書を提出し、上告しないよう求めていました。