リアルで有権者に直接、働きかける「どぶ板選挙」が、インターネット上に移行し始めている――そんな変化をいち早く読み取り、世論調査とメディア分析を組み合わせて複雑な事態を解きほぐしてきたのが、報道ベンチャー・JX通信社代表取締役の米重克洋さん(36)だ。 米重さんは言う。「昨年の衆院選や兵庫県知事選などを経てネット選挙は、不特定多数が相手の“空中戦”から、有権者に直に影響を与える“地上戦”になった。また、動画コンテンツとしての政治のエンタメ化も顕著になった。そのため2024年はいわばネット選挙元年とも言える、象徴的な年になったのです」 今年、2025年も東京都議選や参院選を控える選挙イヤーだ。私たちはどこへ向かっているのか、足元でどんな地殻変動が起きているのか。米重さんと考えた。(共同通信=武田惇志) ▽大きな転機はいつだったのか 最初の大きな転機は2024年の東京15区衆院補欠選挙だったと、米重さんは振り返る。