いわき市水道局の工事入札を巡る官製談合事件で、公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された松原文司容疑者(74)=福島県いわき市小名浜字定西=が社長を務める管工事会社「大松興産」(いわき市)が、逮捕容疑となった入札以外にも複数の一般競争入札で、最低制限価格と同額で入札していたことが19日、市の入札結果で分かった。立件された2024年1月18日の入札から同年9月にかけて、同社は少なくとも8件の工事で最低制限価格と同額で入札していた。県警もこの事実を把握しており、不正がなかったかどうか調べている。 官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された市水道局工務課技術主任、真山佳幸容疑者(34)=同市泉ケ丘2丁目=が、松原容疑者と息子で同社取締役の文隆容疑者(48)=公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕=と仕事を通じて知り合ったことも捜査関係者への取材で分かった。県警は、会社役員側が設計金額などを教えるよう働きかけた可能性があるとみている。 市によると、真山容疑者が設計金額を漏らしたとされるのは平下平窪配水管改良工事の一般競争入札。予定価格の基になる設計書の積算に誤りがあったにもかかわらず、同社が最低制限価格と同額の5070万7453円で落札した。 県警は松原、文隆の両容疑者が真山容疑者から設計金額などの教示を受けて落札したとみており、贈収賄容疑での立件も視野に、金品などの授受がなかったかどうかも調べる。