「人間がする裁判には誤りが。再審に関心を」福井事件の前川さん訴え

福井市で1986年に女子中学生を殺したとする罪で服役し、やり直しの裁判(再審)の判決を待つ前川彰司さん(60)が20日、福井地裁前で無実を訴え、再審に関心を持ってほしいと呼びかけた。判決は7月18日、名古屋高裁金沢支部で言い渡される。 事件をめぐっては、発生の約1年後に福井県警が前川さんを逮捕。事件とのつながりを示す物証は認められず、一審は無罪だった。ただ控訴審で「事件の夜、血の付いた前川さんを見た」といった知人らの供述の信用性が認められ、懲役7年の逆転有罪判決が下り、確定した。 福井地裁前の交差点に立った前川さんは「私は被害者と会ったこともありません。まったくの無関係です」と主張。身ぶりを交えながら、「裁判は人間がすることで、間違い・誤りはつきもの。それを是正しようというのが再審です。関心を持ってもらえませんか」と呼びかけた。 この日、前川さんは「冤罪(えんざい)」「再審無罪を」と書かれた緑色のベストを身につけていた。67年に茨城県で起きた強盗殺人事件「布川(ふかわ)事件」で、2011年に再審無罪が確定した故・桜井昌司さんから贈られたものだという。 判決に向けて「果たして冤罪は、有罪なのか、無罪なのかという見地でみてほしい」と取材に語った。今年3月の再審公判で、検察側は前川さんの有罪を裏付ける新たな証拠は提出しておらず、7月の判決では無罪が言い渡される公算が大きい。(荻原千明)

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