『グッドボーイ』を名作たらしめた3つの要素 “グッドベンジャーズ”との再会を願って

ドラマ『グッドボーイ』と共にあった約2カ月間が終わりを迎えた。元アスリートたちで作られた警察の特別捜査チーム“グッドベンジャーズ”たちの爽快なアクションは、まとわりつくような今の暑さを吹き飛ばしてくれるものだった。 ※以下、ドラマ『グッドボーイ』のネタバレを含みます ⚫︎“グッドベンジャーズ”が魅せたチームワーク 何よりもこの作品の魅力は、彼らのチームワークにあったと言えるだろう。役柄としてもそうだが、第一に俳優同士のチームワークが抜群だったように思う。筆者は、ドラマの宣伝で特捜チームのメンバーが出演したBIGBANGのD-LITEによるYouTube番組で、彼らの仲の良さを感じることができた。一人ひとり、自身の役柄が得意とする射撃やフェンシングの技術を披露したり、大盛り上がりでゲームをしたり……。主演のパク・ボゴムを中心に、おちゃらけたホ・ソンテや、兄のようなイ・サンイとテ・ウォンソク、そして彼らに守られるように控えめなキム・ソヒョンが集結したそのバランスから、きっとこの化学反応がドラマに良い効果を見出してくれるに違いないと自然に感じたのだ。また、ドラマ公式のビハインド映像からもわかるように、結果的に彼らはそのチームワークを役柄にも落とし込んで、悪を追い詰めることに成功した。 その悪とは、オ・ジョンセ演じるミン・ジュヨンを中心に動く、インソン市にはびこる社会の腐敗だ。その中でパク・ボゴム演じる元ボクシング選手のドンジュは、ボロボロになりながらも何度も立ち上がって、負けを認めることはなく最後までやりきった。他のキャラクターも、どんなに行き詰まろうと別の方法を模索して、点と点を繋ぎ合わせていった。ここまでできるのは、メダル獲得まで粘り強く頑張ってきた過去があるからだろう。様々な理由でアスリートを辞めざるを得なくなった彼らだが、その精神力は警察という職業によく活きていた。 ⚫︎手ごわい悪役たちの名演 “グッドベンジャーズ”と対峙し続けてきた悪党たちのことも見過ごすことはできない。ミン・ジュヨンはもちろん、彼を取り巻く人々も非常に手ごわいが、彼らの結束は取引で繋がっているからこそ切れやすい。 麻薬を作っているものの、女と子どもには売らないことを条件にミンと手を組んでいた麻鬼(イ・ホジョン)は、彼に裏切られたことでドンジュ側に情報を提供してくれるようになった。また、ロシアのマフィアであるレオ(コ・ジュン)もミンに騙されていたことを知って激昂。自分に目を掛けてくれていた警察官を殺してしまった自責の念に駆られることにもなる。彼らは単なる強欲な悪者ではなく、そうならざるを得なかった事情があるということが明らかになった。 このドラマでの一番の悪は一貫してミン・ジュヨンだ。それなのに、ドンジュがいくら殴っても、証拠を掴んでも、なかなか彼を刑務所に送ることはできない。怖気づく様子を全く見せず、むしろ凄みが増していくように見せる俳優オ・ジョンセの演技も圧巻だ。じわじわと進んでいく2人の戦いは最後まで目を離せないものであった。 ⚫︎アクションだけじゃない! コメディが光るストーリー 冒頭でも述べたように、本作のアクションは思わず見入ってしまうほど勢いがある。ドンジュとハンナ(キム・ソヒョン)のラブストーリー、ドンジュとジョンヒョン(イ・サンイ)、ジェホン(テ・ウォンソク)のかけがえのない友情も良いスパイスとなった。それに加えて、何よりもコメディ要素は欠かせないものだった。 警察側と悪党側のキャラクターはそれぞれ個性的だったが、筆者がずっと注目していたのはホ・ソンテ演じるマンシクだ。クスッと笑える面白さをもたらしてくれた彼がいたからこそ、物語はより面白味を増したと言える。 元レスリング選手にもかかわらず、他のチームメンバーよりも競技生活を離れて長いからか、フィジカルの面では頼りない。時には誤ってラリってしまったり、時には怖すぎる状況に精神が崩壊して、ネジが外れてしまったりする。さらには娘と妻を思いすぎるが故に仕事が手につかないこともあるが、そんな姿も愛らしいのだ……。一方で、チーム長として他の警察官や上司に上手く取り入って、チームを守ってくれる頼れる一面もある。 また彼は、ドンジュがボクシング選手になる前から警察官として働いており、彼をボクシング選手の道へと導き、さらには同じ警察官の道へも導くことになった存在だ。座長として俳優とスタッフを和やかな雰囲気に包んだパク・ボゴムに加えて、ホ・ソンテおよびマンシクは縁の下の力持ちとして活躍してくれた。 最終的にやっとミンは逮捕されたが、刑務所で無惨にも殺害されてしまった。彼に次ぐ悪がまたインソン市に生まれた、ということだろうか。特捜チームのメンバーはそれぞれに輝きを取り戻したが、再び集まることになるのかもしれない。きっと、彼らがいれば世の中は安泰だ。

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