《ブラジル》検問で金塊103キロ、16億円超=年間数十トンが違法流通

ブラジル最北端ロライマ州で国内史上最大級の金塊押収事件が発生した。時価6100万レアル(約16億3550万円)超、総重量103キログラムにのぼる金塊が、2024年製トヨタ・ハイラックスのダッシュボードや他の収納スペースに巧妙に隠されていた。連邦道路警察(PRF)による綿密な検問と捜査が功を奏し、30歳の運転手が現行犯で逮捕された。今回の摘発事件は、違法鉱山資源取引の実態を浮き彫りにし、国の安全保障に対する警鐘を鳴らすものだと4日付G1などが報じた。 事件は4日正午頃、同州ボア・ヴィスタ市内を通る国道401号で、PRFが検問を実施していた際に発生した。PRFは1台のピックアップトラックの中から、総重量103キログラムの金塊を押収。金塊はダッシュボードをはじめ、車内の複数の収納スペースに巧妙に隠されていた。現場で逮捕されたのは30歳の運転手で、車内には32歳の妻と生後9カ月の乳児も同乗していた。押収された金塊は、中銀の現在の相場に基づき、総額6100万レアルと評価されている。 PRFは、運転手が提示した書類に不整合が見られたことから、詳細な車両検査を実施する判断を下した。ロドリゴ・マギノ警部は、「検問の際、車内の一部が改造されている痕跡を発見し、もっと検査をすることになった。こうした車両は通常、当局が把握している密輸などに利用されるルートを通行していることが多いが、我々は日常的に巡回を行い、技術を駆使して不審な挙動を察知している。今回の摘発はその成果だ」と説明した。 PRFによると、逮捕された男は建設業に従事しており、特に「大規模プロジェクト」に関わっていることが判明している。男は金塊の出所や行き先については黙秘を続けている。 今回の押収は、同州における史上最大の金塊押収であり、国内においてもPRFが記録した最大規模の押収事件だという。なお、同州では2024年6月に21キログラムの金塊が押収された事例があり、その際は2人の容疑者が逮捕されていた。 押収された金は現在、連警本部へ送られ、詳細な調査が進められている。犯行に使用された車両は、逮捕された男の名義では登録されておらず、所有者は非公開となっている。 先住民族保護区における違法採掘の取り締まりを担う連邦政府機関「カーザ・デ・ゴヴェルノ」によれば、当該車両はロンドニア州から出発したとみられているほか、押収された金はロライマ州と国境を接するベネズエラやガイアナへ密輸される計画があった疑いも指摘されている。 フォーラム・ブラジル政治科学サイトの論文によれば、2021年単年だけでも、最大53トン(約25億ドル相当)が違法採掘されて欧米中東などに出回っていると推定される。2024年12月26日付Vitalsignsサイト記事によれば、専門家の見解では全採掘金の30%〜50%が違法もしくは疑わしい形で輸出・流通している可能性があるとされている。 ブラジルで違法に採掘され、世界に輸出されている金の量は、年間数十トン(最大で50トン程度)にのぼり、世界市場において無視できない規模と見られている。今回の押収量は史上最大だが、違法流通量はさらに桁違いだ。

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