大川原化工機事件 逮捕は「大きな過ち」 警視庁が検証結果を発表

「大川原化工機」(横浜市)をめぐる冤罪(えんざい)事件について、警視庁は7日、捜査の問題点や再発防止策をまとめた検証結果を発表した。公安部の捜査の進め方に問題があったうえ、公安部長らの捜査指揮が「機能不全」だったため、違法な逮捕などの「大きな過ち」につながったと指摘した。警視庁などは捜査に関与した当時の幹部らを処分する方針。 警視庁本部では7日午前、同庁トップの迫田裕治警視総監が記者会見し、「捜査の基本を欠き、その結果、控訴審判決で違法とされた捜査を行ったことを真摯(しんし)に反省している」と述べた。さらに「逮捕された3人の方々、捜査対象となった会社の関係者の方々に多大なご心労、ご負担をおかけし、改めて深くおわびする」などと謝罪した。 公安部は2020年3月、大川原化工機が製造する噴霧乾燥機について、輸出規制があるのに無許可で輸出したとして、外国為替及び外国貿易法違反の疑いで社長の大川原正明さんら3人を逮捕し、東京地検が起訴した。しかし、地検は21年7月、起訴を取り消した。国家賠償訴訟で東京高裁は今年5月、公安部の捜査や逮捕、東京地検の起訴について、一審に続き違法性を全面的に認めた。都と国は上告を断念し、判決が確定した。 ■捜査指揮系統「機能不全」 警視庁は、公安部の捜査の違法性が全面的に認められた確定判決をベースに検証した。一貫して問題視したのが、捜査における最高責任者の公安部長や補佐役の外事1課長ら幹部がまともに指揮をせず、捜査指揮系統が「機能不全」だった点だ。「公安部が組織として慎重に検討していれば、関係者の逮捕に至ることがなかった可能性は否定できない」と指摘した。 具体的な問題点としては、同社の機器が規制対象に当たるかを判断する要件についての警視庁の独自解釈に対して、経済産業省が疑問点を示したのに再考しなかった▽機器の実験で捜査方針に沿わない結果が出たのに追加捜査をせず、公安部幹部や検察官と十分に共有しなかった▽取調官への指導不徹底――などを挙げた。公安部長らには捜査の概要や予定しか伝えずに報告が形骸化していたことも指摘した。

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