《ベネズエラ》報奨金74億円相当に倍増=米政府がマドゥロ情報に

【既報関連】米政府は7日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束に資する情報提供に対する報奨金を、これまでの2500万ドル(約37億円相当)から5千万ドルに倍増したと発表。パム・ボンディ米司法長官は、マドゥロ氏を「世界有数の麻薬密売人」と断じ、国家安全保障への深刻な脅威であると非難した。これに対し、ベネズエラ政府は報奨金増額を「哀れで滑稽」と非難し、米国の政治的策略であるとの批判を展開していると同日付CNNブラジルなどが報じた。今回提示された報奨金額は史上最高額となり、国際テロ組織アルカイダの最高指導者だったオサマ・ビンラディンに対する額を上回る。 米政府は7月25日、ベネズエラの犯罪集団「ロス・ソレス・カルテル」を国際テロ組織に指定し、マドゥロ氏が同組織の指導者として関与していると主張。これを受けて、米司法省は28日、同氏の逮捕や有罪に結びつく情報に対し、2500万ドルの報奨金を提供すると発表していた。 ボンディ長官は自身のSNS投稿で報奨金の増額を発表し、「マドゥロ氏は法の裁きを免れず、凶悪犯罪の責任を問われる」と強調。情報提供を促すための連絡先番号も公開した。マドゥロ氏が「トレン・デ・アラグア」「シナロア・カルテル」「カルテル・デ・ロス・ソレス」などの国際テロ組織を利用し、米国に致死性の高い麻薬と暴力を流入させていると指摘した。 米麻薬取締局(DEA)はこれまでに、マドゥロ氏とその共犯者に関連するとされるコカイン30トンを押収し、うち約7トンはマドゥロ氏本人との直接的な関与が指摘している。米政府によれば、ベネズエラおよびメキシコを拠点とするカルテルは、米国への麻薬密輸を「主要な収入源」としている。 米司法省はマドゥロ氏関連の資産として7億ドル超を押収。対象にはプライベートジェット2機や車両9台などが含まれているが、違法薬物の流通そのものは依然として続いている。 ボンディ長官は「マドゥロ氏による恐怖政治は現在も続いている」と指摘。米国は24年7月に実施されたベネズエラ大統領選を不正と認定し、マドゥロ氏の再選を承認していない。マルコ・ルビオ米国務長官も、マドゥロ氏が民主主義を抑圧し、権力に固執していると批判。当選を示す証拠が一切示されていないことを挙げ、米国として同氏をベネズエラ大統領として認めない立場を明言した。 米国とベネズエラは2017年以降、外交関係を断絶中だ。ただし米政府は、ベネズエラで拘束された自国民の解放に向け、同国高官との交渉を継続。7月にはエルサルバドルの仲介により、拘束されていた米国人10人が解放されたことが明らかとなっている。 米国が外国の現職国家元首を正式に刑事告発するのは極めて異例で、過去には1988年、当時のパナマ大統領マヌエル・ノリエガ氏が同様の告発を受けた例がある。バイデン前政権およびトランプ政権は、24年選挙の勝利を主張する野党指導者エドムンド・ゴンサレス・ウルティア氏を「正統な大統領」として支持している。

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