(台北、新北中央社)日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会が公式サイトで、台湾の観光地で日本人の窃盗(スリ)被害が多発しているとして注意喚起している。北部・台北市と新北市の警察局によれば、両市では今年1月から8月上旬までに日本人旅行客の窃盗被害が計16件確認された。 交流協会は、日本人のスリ被害は特に、人気観光地の九份(新北市)やショッピング街の永康街エリア(台北市)、台北メトロ(MRT)中山駅周辺(同)、各地にある夜市で確認されているとし、防犯対策を呼びかけた。10日から11日にかけ、台湾の複数の主要メディアがこれを取り上げた。 報道を受け台北市政府警察局刑事警察大隊は11日、報道資料を発表。同局が交流協会を自発的に訪問し、双方の連絡ルートを強化したと説明した。 同市内で8月上旬までに日本人から届け出があった窃盗被害は11件で、このうち永康街エリアで発生した被害ではフィリピン籍の容疑者4人を特定した他、路線バスで起きた被害では20代の台湾人の男を現行犯逮捕したと紹介した。フィリピン籍の容疑者は6月にすでに出境した。 また、窃盗が多発する地点・時間帯の防犯強化や民間と協力した啓発活動を行うと言及。被害届の受理後、防犯カメラの映像確認などを通じて速やかに容疑者を特定する他、複数の部署や隣接する新北市との連携で窃盗集団や常習犯を重点的に摘発していくとした。 外国籍の窃盗犯については、航空警察や移民署国境事務大隊と合同で捜査し、出入境経路や台湾での滞在場所などを把握して検察官の指揮の下で逮捕につなげると述べた。 新北市政府警察局刑事警察大隊も同日、8月10日までに日本人から届けられたスリ被害は5件(うち3件は九份)で被害総額は10万5806台湾元(約52万円)だったと発表。日本人の被害件数は窃盗被害全体の0.06%に過ぎないものの、いずれの事件も旅行客の財産の安全や市の観光イメージに関わるものであり、同局として重視する姿勢を強調した。 同隊は、今年に入ってから8月上旬までに受理した窃盗被害8034件のうち6141件はすでに逮捕に至ったとした上で、今後も盗難防止の啓発や防犯を強化し、旅行客の安心安全を確保するとした。 (黄麗芸、趙敏雅/編集:田中宏樹)