《ベネズエラ》マドゥロ450万民兵動員を発表=米の報奨金・軍事圧力に対抗

【記報関連】ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は18日、米国からの「脅威」に対抗し、約450万人の民兵を動員すると発表した。9日付本紙が《報奨金74億円相当に倍増=米政府がマドゥロ情報に》で報じた、トランプ政権がマドゥロ氏逮捕に繋がる情報提供に対する報奨金を5千万ドル(約74億円)に引き上げ、カリブ海域での軍事作戦を展開したことへの対応だ。この一連の動きは、両国の対立をさらに深刻化させ、中南米地域の安全保障環境に大きな影響を及ぼすことが懸念されていると19日付AFP通信などが報じた。 マドゥロ大統領はテレビ中継の演説で「今週中に特別計画を発動し、武装した民兵450万人以上で国土全体の防備を固める」と述べ、米国からの「新たな脅威」に対し「任務」を命じることを発表した。同政府はこれを国家防衛のための重要な措置と位置付けている。 同国のボリバル民兵は、故ウゴ・チャベス前大統領によって創設され、公式発表によれば約500万人の予備役から構成されている。 Global Firepower(GFP)2025年ランキングでは、ベネズエラの軍事力は世界160カ国中「50位」に位置付けられており、中南米ではブラジル、アルゼンチン、メキシコという4大軍事大国に次いで、コロンビア、チリ、ペルーとほぼ肩を並べる7位。南米地域内では中堅クラスの位置付けだ。正規軍人員は約12万人~15万人。予備役を含めれば最大で43万人に達するという報告もある。 ちなみに、世界第2位の経済規模と14億人以上の人口を持つ中国ですら、正規軍約200万人、「人民武装警察」や「人民民兵」などの民兵も約百万人規模といわれる。 つまり「民兵が450万人いる」という数字は、マドゥロ政権やその支持層による呼びかけの一環であり、実際の訓練済み・活動可能な民兵は数十万〜多くとも100万人程度と見るのが妥当だと言われる。大統領の発言は政治的意図を持つ誇張の可能性が高く、客観的な裏付けや独立した検証は難しく、「政治的な宣伝的表現」として理解されている。 トランプ政権が7日、報奨金を2千500万ドルから5千万ドルに引き上げたのは、米司法省が、マドゥロ氏を国際犯罪組織と結託して米国内への麻薬密輸や暴力を助長している「世界最大の麻薬密売人の一人」と見ているからだ。 この発表を受け、ベネズエラのウラジーミル・パドリーノ・ロペス国防相は8日、テレビ出演で米国の処置を「愚かだ」と一蹴。米国による報奨金提示を「国際法および民族自決権を明白に侵害する違法な干渉」と断じ、「米政府は自国の法律を無視し、恣意的に統治しているにもかかわらず、わが国に民主主義の教訓を説こうとしている」と批判の声を強めた。同氏とディオスダド・カベジョ・ロンドン内務・法務・平和相も同様に、米国から報奨金の対象となっている。 両国間の関係は、第1次トランプ政権下で17年以降に断絶され、19年には米国が野党指導者フアン・グアイド氏を暫定大統領として承認し、ベネズエラ産原油に禁輸措置を含む厳しい制裁を科した。だが政権交代には至らず、グアイド氏の象徴的な政権も23年に終焉を迎えた。

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