【AFP=時事】イスラエル政府高官が子どもに対する性犯罪のおとり捜査で逮捕され、その後出国を認められた出来事をめぐり、米検察は19日、隠蔽(いんぺい)工作を否定した。 ニュースサイト「8NewsNow」が警察の文書を引用して報じたところによると、イスラエル国家サイバー総局のトム・アルティオム・アレクサンドロビッチ最高執行責任者(38)は今月、ラスベガスで15歳の少女とのデートだと思って待ち合わせ場所に現れたところを拘束された。 アレクサンドロビッチ被告は、ラスベガス・ストリップでシルク・ドゥ・ソレイユ観劇などのデートを楽しむつもりで、コンドームを持参していた。 だが、実際に対面したのは少女ではなく覆面捜査官だった。 同被告は、サイバーセキュリティー関連のイベント「Black Hat USA 2025」のためにラスベガスを訪れていた。 アレクサンドロビッチ被告は未成年者を性行為に誘惑した罪で起訴され、8月27日に出廷命令を受けた後、1万ドル(約148万円)の保釈金を支払って釈放された。 同被告はその直後、イスラエルに帰国した。 10年以下の拘禁刑を科される可能性に直面している人物の出国を認める決定に対し、ネット上では批判が巻き起こった。 批判を主導したのは、共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員だ。グリーン氏はドナルド・トランプ米大統領の忠実な支持者だが、最近はパレスチナ自治区ガザ地区での紛争への対応をめぐり、イスラエルを厳しく批判している。 グリーン氏はX(旧ツイッター)に、「(ベンヤミン・)ネタニヤフ首相のサイバー最高執行責任者を連行し、法の及ぶ限り起訴することは反ユダヤ主義に当たるだろうか」と投稿。 「子どもに対する性犯罪者を逮捕した後、証拠もあり100%刑務所行きにもかかわず、すぐに釈放してイスラエルに帰国させるとは。米国はどうしてこれほどイスラエルに従属するようになったのだろうか?? 子どもに対する性犯罪者がメキシコ人の場合でも、同じようにするだろうか?」と続けた。 国務省は、連邦政府が中東の主要同盟国であるイスラエル高官の支援に何らかの便宜を図ったことを否定。 ソーシャルメディアへの投稿で、「国務省は、イスラエル国籍のトム・アルティオム・アレクサンドロビッチ被告がラスベガスで逮捕され、未成年者を性行為に誘惑したことに関連する罪で出廷を命じられたことを認識している」「彼は外交特権を主張しておらず、州裁判官によって保釈された。連邦政府が介入したという主張はすべて虚偽だ」と述べた。 クラーク郡のスティーブ・ウルフソン検事は19日、アレクサンドロビッチ被告の保釈について、特に異常な点はなかったと述べた。 ウルフソン氏はラスベガス・レビュー・ジャーナル紙に対し、「この罪の標準的な保釈金は1万ドルだ。つまりこの罪で起訴された者が誰であろうと、その金額を支払えば無条件で釈放される。今回の事件もまさにその通りだった」と語った。【翻訳編集】 AFPBB News