【実践ルポ】花街があった歴史も…神奈川・本厚木「風俗商店街」に存在するという「本サロ」を訪ねた

’24年10月、大阪で3軒のピンサロが公然わいせつの疑いで摘発されて従業員と客ら18人が逮捕された。大阪・関西万博前の浄化作戦ではないかともいわれたが、それほどにピンサロは警察が〝その気〟になれば取り締まりの対象にしやすい業種だともいえる。 ピンサロは1950年頃に大阪で誕生した「アルサロ」が元だといわれている。昭和から平成前半にかけてはお手軽な風俗として全国のいたる都市で繁盛していた。一部でサービスが過激化、最後までサービスする〝本サロ〟も登場した。中でも有名なのは’00年前後に埼玉県・西川口で流行った〝NK流〟だろう。当時の西川口には200軒以上の本サロが乱立していたという。しかし、’05年に大規模摘発が行われ、’07年には壊滅した。 ピンサロはこの20年でその数は激減。都内では普通の店ですらひっそりと営業しており、本サロなど違法なサービスに手を出せば一発で摘発されそうだ。だが、地方ではしぶとく生き残っている店もあるようで、アングラ探検家・YouTuberのパイナポー裏ch氏は自身の動画でこれまでにも全国各地の本サロを紹介している。今回は神奈川・厚木の〝風俗商店街〟にあるという本サロを訪ねた。 ◆約50年の歴史を持つ〝風俗商店街〟 神奈川県厚木市。神奈川県のほぼ中央、相模川の西側に位置している。「厚木市」といっても街の中心は厚木駅ではなく本厚木駅である(「厚木駅」はそもそも海老名市に位置する)。駅には大型商業施設が併設され、駅周辺にもショッピング施設や飲食店が多く人通りは絶えない。新宿まで電車で1本なので、都心に通勤する人も多い。 「厚木」というと基地のイメージがあるが、基地が立地するのは大和市、綾瀬市、海老名市の3市である。なので、横田基地がある福生や拝島のように街はアメリカ人ばかりというわけではない。晴れた日には丹沢・大山の山々が遠目に見え、神奈中バスが行き交いどこかのんびりした空気が漂う。典型的な神奈川県の中堅都市と言える。 前置きが少し長くなったが、ここ本厚木にはサンロードという「風俗商店街」がある。本厚木の駅前から北へ300m、飲食店やカラオケ店の喧騒から少し外れたエリアにその商店街は存在する。普通の飲食店や居酒屋も入っているがピンサロやチャイエスといった「風俗店」が密集している横丁で、どこか退廃的な空気が漂っている。見た目は寂れたショッピングモールで、初見だと一歩足を踏み入れるには躊躇してしまう。 花街としての厚木の歴史を簡単に紹介する。本厚木よりもう少し先、伊勢原からバスとケーブルカーを乗り継ぐと大山がある。大山は古くから山岳信仰で崇められ、厚木はその大山の宿場町として栄えた。相模川の待機場所としての役割もあったようだ。大きな川のほとりが花街として栄えるのは川崎の堀之内が有名である。 厚木の街に花街が生まれたのは明治の初期で、サンロードの少し東側のエリアに存在した。『皇国地誌稿本』によれば、明治9年には芸妓が8人いたとの記録がある。1957年までは15〜20軒の料亭や貸席があったとのことで、おそらく1958年の売春防止法施行までは花街としての賑わいを見せていたのだろう。今は目立った遺構は残っていない。 ◆本厚木に本サロがあるとのタレコミが…… 話をサンロードに戻す。この風俗商店街ができた経緯はいまいち定かではないが、もともとは普通の商店街だったのがテナントにエステや風俗店が入居しはじめ、出来上がったのが今のサンロードとのことである。1979年から存在するようだ。この約50年の歴史を持つ風俗商店街のとあるピンクサロンで「本番行為ができる」とのタレコミが筆者のXのDMにもたらされた。ざっくり要約すると、《本厚木の〇〇という店の、××という子が本番行為をやっている。年齢は30代前半の〝ギャル〟で、追加料金もとくにない……》等々のかなり具体的な内容だ。 言うまでもなく一般的にピンクサロンでできることは「手」と「口」のサービスまでであり、本番行為は厳禁である。ちなみにこの店の本番情報に関してのタレコミはこれだけではなくもう2通来ており、それぞれ別の嬢の名前が記されてあった。 レトロでアングラな商店街にあるピンサロで本番が行われている……。興味深いではないか。さっそく本厚木まで行ってみることにした。 新宿から小田急線に揺られ50分。本厚木に降り立ったのは15時を回ったところである。さっそく目的のサンロードまで歩いて行く。居酒屋やカフェが立ち並ぶ通りを早足で歩いていく。行き交う人々は外れにあるピンサロで違法行為が行われていることなどは露ほども知らないだろう。 サンロードに着くとその商店街を歩く者は誰一人おらず、昼下がりだというのにひっそりとしている。それでもチャイエスやピンサロのスタンド看板は光を放っており、日中でも営業中だということがわかる。目的のピンサロも営業中であることを確認。少し急な階段を登り、店の入り口を目指す。浜崎あゆみの昔の曲が流れており、それは’00年代前半を感じさせるものだった。 潜入調査の結果、本厚木の街の外れ、寂れた商店街にある場末のピンサロでは話通り確かに本番が行われていた。実は本厚木には本番行為ができてしまうピンサロがこの他にも複数存在する。 花街の歴史とは無関係だろうが、すぐ近くの秦野にもそういった店があるから、もしかすると大山の麓という土地柄ゆえ精進落としの意味合いも微かにあるのかもしれない。確かにそういった土壌や歴史を感じさせるものがピンサロにあった。 有料版『FRIDAY GOLD』では、実際にパイナポー裏ch氏が店に潜入したときの様子や、お店で会った〝ギャル〟とのやり取りなどを掲載している。 取材・文・撮影:パイナポー裏ch

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