韓国で、警察がソウル西大門区(ソデムング)のある小学校付近で児童を誘拐しようとしたグループを捕まえるという事件があった。児童の連れ去りに関する通報はすでに一度寄せられていたが、警察は9月2日、「犯罪との関連は確認されなかった」と発表していた。 西大門警察署は4日、未成年者略取・誘引未遂の疑いで20代の男3人を緊急逮捕し、このうち2人について拘束令状を請求したと発表した。令状が請求された2人は3回にわたり積極的に誘いをかけたとされ、もう1人は「問題になるからやめろ」と友人たちを制止したとされる。容疑者らにはいずれも同種の前科はなかった。 警察によると、3人は8月28日午後3時31・32・36分の、5分間・3回にわたり、西大門区弘恩洞(ホンウンドン)の小学校や公営駐車場付近で児童を誘拐しようとした疑いが持たれている。3人は車に乗って児童に近づき「かわいいね、家まで送ってあげる」と声をかけたとされる。幸い、児童は誘いに応じずその場を離れたため、犯行は未遂に終わった。 警察の調べに対し、容疑者らは「金銭目的はなかった」と述べ、「子どもがかわいくてふざけて近づいた。驚く反応が面白く、繰り返した」と供述したという。警察は「供述の真偽を確認しており、計画性の有無も捜査している」と説明した。3人は中学時代からの友人で、大学生も含まれていた。犯行は、小学校近くに住む被疑者のうちの1人の自宅に京畿道(キョンギド)から2人が遊びに来ていた際に行われたという。 これに関連して、先週には保護者団体のSNSに「西大門区の小学校付近で男らが子どもに接近している」との書き込みが共有された。これを受け、同小学校は1日付の保護者向け通知で「幸い大事には至らなかったが、保護者には児童誘拐防止のため注意してほしい」と呼びかけた。さらに子どもたちには「知らない人が送ってあげるなどと言って近づいてきたら、『嫌です』とはっきり大声で断るように」と安全指導を行った。 一方、事件直後の警察対応の不十分さを指摘する声も出ている。西大門署は2日、「先月30日に関連の通報を受け、周辺の防犯カメラを確認したが、誘拐など犯罪との関連は確認されなかった」と説明していた。「通報内容と同じ車両の接近など、略取や誘引の状況は確認できなかった」とも述べていた。 しかし同日午後、「自分の子どもも同じような目に遭った」との似たような通報が追加で寄せられ、警察は強行犯係を動員し捜査を強化した。これにより被疑者らによる計3回の犯行を確認し、3日午後から4日未明にかけて弘恩洞や京畿道驪州(ヨジュ)で順次3人を逮捕した。 警察は初動捜査で犯行を確認できなかった理由について、「先月30日に最初の通報が受理された後、犯罪との関連は確認できないとしたのは、当時、通報内容の事実関係を正確に把握できず、対応に不手際があったためだ」と説明した。さらに「被害児童の母親が伝えた車両と、実際の犯行車両の色や車種が異なっていた」と釈明した。通報では白いスターレックスとされていたが、実際に使われたのは灰色のソレントだった。 警察は3人について、さらに犯行がなかったか調べている。被疑者2人に対する裁判所の令状実質審査は、5日、ソウル西部地裁で行われる予定だ。