東京都世田谷区で韓国籍の女性が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された交際相手の男性(30)のスマートフォンに、女性の通信アプリ内のやり取りを盗み見て保存したとみられる画像が残っていたことが捜査関係者への取材で判明した。男性は事件前に女性のスマホを一時的に奪っていたといい、その間に事件当日の女性の居場所を把握したとみられる。 逮捕されたのは、韓国籍で住所・職業不詳のパク・ヨンジュン容疑者。1日午後1時半ごろ、世田谷区野沢2の事務所入り口付近で、自営業のバン・ジウォンさん(40)=東京都港区=の首を切り付け、殺害した疑いがある。 捜査関係者によると、パク容疑者は8月23日に来日。同29日未明、別れ話でトラブルとなり、バンさんのスマホが入ったバッグを奪ったという。 バンさんから「暴力を振るわれた」と相談された警視庁は、パク容疑者を呼び出してスマホを返却させた。パク容疑者はそれまでの間にバンさんのスマホのロックを解除し、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を盗み見たとみられる。 バンさんと仕事関係者とのラインのメッセージには、事件当日の「午前11時ごろに(現場の)事務所に訪問する」という趣旨の日本語でのやり取りがあり、住所も記載されていた。 パク容疑者のスマホには、このやり取りを韓国語に訳した画面が保存されていた。翻訳アプリを使って、バンさんのやり取りを読み込んで訳したとみられる。 また、パク容疑者は事件前日の同31日朝、宿泊先の港区のホテル近くのスーパーで果物ナイフを購入していた。警視庁は凶器として使われたとみている。パク容疑者はその後、事務所に移動し約10分間、周囲をうろついていたという。下見だったとみられる。 警視庁は同29日の相談後に、パク容疑者に口頭で注意し、「連絡を取らない」「近づかない」との上申書を書かせていた。しかし、パク容疑者は1日午前10時40分ごろまでに約10回にわたり、無料通信アプリ「カカオトーク」で「本当に感謝している」「つらい」「申し訳ない」などとバンさんにメッセージを送信しており、強い執着があったとみられる。【朝比奈由佳】