【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との癒着疑惑を捜査する特別検察官チームは17日、出頭した教団トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)を政治資金法違反などの疑いで取り調べた。今後、韓氏を逮捕するかどうか判断する。 一連の癒着疑惑で韓氏が取り調べを受けるのは初めて。韓氏は健康上の理由で3回にわたって出頭要請を拒んできた。 教団元幹部=請託禁止法違反罪などで起訴=が不正に尹前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏に高額ネックレスを贈ったほか、2022年の大統領選で尹氏の最側近で最大野党「国民の力」重鎮の権性東(クォン・ソンドン)国会議員に組織票を動員する見返りに便宜供与を求め、政治資金1億ウォン(約1060万円)を渡した疑いが持たれている。 特別検察官は韓氏の承認の下で行ったとみている。教団は元幹部の個人的逸脱行為で韓氏の関与はないと主張している。 韓氏の出頭に先立ち、特別検察官チームは政治資金法違反の疑いで権氏を逮捕した。国会議員には不逮捕特権があるが、国会が11日、逮捕同意案を可決。裁判所が16日、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕状を発付した。 一連の癒着疑惑捜査で現職議員が逮捕されたのは初めて。権氏は韓氏の不正賭博疑惑に関する捜査情報を教団側に漏らした疑いもある。権氏は容疑を全面否認している。