世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁(82)が23日、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領の妻や側近への不正な金品授与に関与した疑いで韓国の特別検察に逮捕された。教団を長年取材してきたジャーナリストの鈴木エイトさんは、日本国内への影響をどう見るのか。 事件をめぐっては、教団元幹部=政治資金法違反などの罪で公判中=が立件されている。鈴木さんは「幹部の逮捕だけではなく韓鶴子氏の逮捕にまで至ったところに、韓国の特別検察の本気度を感じる」と話す。 教団は日本国内でも、国政選挙などへの協力と引き換えに体制保護を図ろうとしてきた、と鈴木さんはみている。 ただ、高額献金の問題を抱える教団と、日本の国会議員らとの関係の全体像は、現在も明らかになっていない。韓国と日本の状況を対比して、鈴木さんは「教団による政界工作がこのように摘発されるところに、日本との違いを感じる」と指摘する。 韓国の教団元幹部の立件後、実質的に教団の権力を掌握してきたとされる別の幹部が逮捕されておらず、内部では「韓鶴子氏へ罪を着せたとして突き上げも起こっている」と言う。 ■日本の教団「短期的には結束、その後は脱会者増える」 日本国内にはどんな影響があるのか。 教団の日本組織は、韓国本部からの上意下達の構造だという。「逮捕によって指揮系統の乱れから教団運営には混乱が生じる可能性がある」とみる。 東京地裁は3月、教団の解散を命じる決定を出し、高裁で審理が続いている。鈴木さんは総裁逮捕が日本に与える影響について、「短期的には国内の教団内部の結束が強まるが、その後は脱会者が増えるのではないか」と話す。(小寺陽一郎)