京都市南区で飲酒運転の事故が相次いでいる。今年上半期の飲酒運転による事故件数は前年同期と比べて2倍に上る。飲酒運転の撲滅のため、京都府警南署は検問などの取り締まりを強化し「飲酒した後には絶対に運転しないで」と呼びかけている。 7月25日午後11時、同区の九条大宮交差点で南署員ら約10人が乗用車を呼び止め、運転手の呼気を確認し始めた。「飲酒運転は許さん!真夏の南区大検問作戦」と題した大規模検問。開始から約40分後、検問を避けるように脇道を左折する車を署員が見つけた。 「その車、止めて」。現場班長が無線で指示すると、あらかじめ脇道の先に待機していたパトカーから警察官が降り、車に声をかけた。運転していた伏見区の30代男性は「午後は飲んでいない」と話したが、警察官が呼気検査をすると、法令違反に当たる高いアルコールの数値を検出し、道交法違反(酒気帯び)の疑いで現行犯逮捕した。 この日、同区の勧進橋西詰の久世橋通りでも検問を行い、電動キックボードを運転する50代男性を検挙した。男性は中京区の居酒屋で酒を飲み、電動キックボードをレンタルして伏見区の自宅に戻る途中だったという。市内を中心に利用が進む電動キックボードの法令違反にも南署は目を光らせている。「大検問作戦」では約3時間で590台を検問し、2人を検挙した。 南署管内では1〜6月、飲酒運転による事故が22件発生し、前年同期比で12件増加している。府全体では111件で、前年から20件減少しているのとは対照的だ。熊崎将人交通課長は「市中心部の繁華街で酒を飲んだ人が、伏見や府南部の自宅へ帰る前に南区で事故を起こしている印象だ」と説明する。 捜査関係者によると、管内では5月、大阪国税局の20代男性職員が酒気帯びで乗用車を運転し、パトカーに追跡されて信号機に衝突する悪質な事故も発生している。村上守署長は「飲酒運転は絶対に許さないという思いで、取り締まりに力を入れていきたい」と力を込める。