「健診未受診のフォロー、更にしっかり」 和歌山虐待死で市長が見解

和歌山県和歌山市で2歳の長女を虐待し死なせたとして両親が逮捕された事件で、尾花正啓市長は29日、定例記者会見で「非常に痛ましい事件で、あってはならないこと。今後は健診未受診の場合のフォローを更にしっかりとやっていきたい」との見解を示した。7月10日に死亡した平流菜(るな)ちゃんは、生後4カ月健診を過ぎてからの乳幼児健診を受けていなかったことが明らかになっており、死亡時の体重は約6キロで2歳児平均の約半分だった。 保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたのは、父親の晴流(はる)(26)、母親の菜々美(26)両容疑者。昨秋から流菜ちゃんに暴行を加え、治療を受けさせずに死なせた疑いが持たれている。 市地域保健課によると、10カ月健診と1歳半健診に訪れなかったため、保健師がそれぞれ2024年3月と12月に自宅を訪問し母親や流菜ちゃんと面会。3月にはその場で体重を量ったが約7・2キロで「小柄ではあるものの適正体重の範囲内だった」としている。12月は「あくまでも法定健診を受けてもらうことが目的」として目視にとどめ、体重測定などはしていなかった。 面会の際にあざなど虐待を疑う兆候はなかったとして、児童相談所への通告やこども家庭センターへの情報共有はしていない事案だった。勧奨後も受診がなされなかったことから、市保健所は25年1月と3月に母親の携帯へ電話をかけたが、出なかったという。 尾花市長はこうした市の対応について「保健所の対応は適切だったと思っている」と説明。「我々の立場は強制的な力を持っておらず限界があるが、まずは子どもさんに会えることが大事だと思っている」としたうえで、健診未受診の際のフォロー徹底や児相への通告を改めて検討していく方針を示した。 乳幼児健診を巡っては、24年度における1歳半健診の対象が市内に2313人で、受診率97・6%(56人が未受診)だった。市では未受診の場合、3カ月以内に自宅を訪問するなどし、乳幼児を目視確認するといった運用になっている。【安西李姫】

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