トクリュウ壊滅へ警察庁と警視庁に司令塔 情報連携、分析強化で首謀者特定 生成AI駆使

「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)の取り締まりを強化する警察庁、警視庁の新体制が1日、発足した。警察当局がトクリュウの対策強化を急ぐ背景には、摘発が実行役など組織の末端にとどまり、特殊詐欺などの犯罪被害が過去最悪を更新し続けている現状がある。新体制では、全国から集めた情報を基にトクリュウ中枢の〝キーマン〟を選定、実態解明を進めると同時に、摘発に向けた作戦を立案する。実行役からの突き上げ捜査も継続し、「上位」と「末端」からの挟み撃ちでトクリュウ壊滅を目指す。 ■実態解明、情報集約で迅速化 警察庁のまとめによると、昨年摘発したトクリュウメンバー約1万人のうち、指示役や首謀者はおよそ1割。摘発者全体の約4割が、SNSなどを通じて集められたいわゆる「闇バイト」で、逮捕された実行役らは上位者の素性を知らないことが多い。警察幹部は「従来の突き上げ捜査だけでは限界がある」と現状を分析する。 「『人』の周囲を調べ、『カネ』の流れを追う」(捜査幹部)。組織改編のねらいは、トクリュウの上位関与者を特定した上でターゲットを選定するのとともに、全国の情報を一元的に集約する態勢の構築により、犯罪収益の流れなど、組織の実態解明の効率化・迅速化を図ることにある。 ヒントとなる事例がある。 令和4~5年、警察当局がトクリュウへの危機感を強める大きなきっかけとなった「ルフィ」グループによる一連の広域強盗事件。被害金の流れを追っていた警視庁は昨年、都内にあった男の自宅にカネが運び込まれていることをつきとめた。 実はこの男は、別の特殊詐欺事件を追っていた愛知県警の捜査線上にも浮上していた。 警視庁と愛知県警は今年3月、マネーロンダリング(資金洗浄)グループの幹部とされる男らを「ターゲット」に合同捜査本部を立ち上げ、捜査を本格化。警察庁とも連携し、全国の詐欺事件の情報を精査。従来、追跡が難しかった暗号資産(仮想通貨)を経由したカネの流れも解明し、4月、摘発にこぎつけた。 ■中枢特定、AIも活用

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