サレ、モロッコ、10月2日 (AP) ― 北アフリカのモロッコで、反政府デモ隊が5夜連続で通りを埋め尽くし、公共サービスのあり方に対する抗議が再び暴力と破壊に発展した。 インターネットに精通した若者を中心に広がりを見せた「Z世代の抗議」と呼ばれる今回の反政府運動は、近年同国最大規模の抗議行動となっている。 デモは新たな地域にも拡大しており、参加者らは汚職の横行や学校や病院の放置に対する怒りを訴えている。 政府がワールドカップに数十億ドルを投じる一方で、公共サービスが劣悪な状況に置かれている、とデモ参加者らは政府を批判している。 首都ラバトに隣接する労働者階級の都市サレで、AP通信の記者は、数百人のマスク姿の若者らが車両や銀行、商店に放火し、窓ガラスを打ち壊す様子を目撃した。 現地メディアや目撃者によると、南部や東部のインゼガン、アイト・アミラ、ウジュダでも同様の騒乱が報告され、警察車両がデモ隊に突入して1人が負傷したという。 内務省によれば、抗議が始まった9月27日以降、デモ参加者409人が逮捕され、治安部隊263人と市民23人が負傷、警察車両142台と民間車両20台が損傷したという。 モロッコは今年、アフリカ・ネイションズカップを開催し、2030年にはワールドカップを共催する予定で、2026年には議会選挙も控えている。 政府は「サッカーを公共サービスより優先してはいない」と否定しているが、今回の抗議は地域間格差や若者世代の失望感を浮き彫りにした。 (日本語翻訳・編集 アフロ)