昨年首都圏などで相次いだ「闇バイト」が関係する強盗事件で、千葉県白井市と市川市の事件で実行役を担ったとして、強盗致傷や逮捕監禁などの罪に問われた高梨謙吾被告(22)=横浜市旭区=の裁判員裁判の初公判が2日、千葉地裁であった。高梨被告は起訴内容を認めた。 起訴状によると、被告は仲間と共謀し、昨年10月16日未明に白井市の住宅で70代と40代の女性に暴行を加え、現金約26万円やキャッシュカードを奪った。翌17日未明には市川市の住宅で50代女性を殴るなどし、奪った軽乗用車で埼玉県の宿泊施設まで連れ去り、監禁するなどしたとされる。 検察側は冒頭陳述で、被告が金欲しさからSNSの闇バイトの募集に応募して犯行に及んだ、と指摘。秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で、「パトリック」などと名乗る指示役の言いなりになり、高齢者も含む被害女性らに「執拗(しつよう)で苛烈(かれつ)な暴力を振るったことは悪質」と非難した。 弁護側は、被告が事件の5カ月前に離婚して妻子と別れ、700万円以上の借金や養育費の支払いを抱えていたと主張。市川市の事件翌日に出頭しており、当日まで強盗ではなく特殊詐欺だと認識していたことを考慮すべきだ、などと訴えた。 この事件では、高梨被告の共犯として白井市の事件で藤井柊(しゅう)被告(27)、市川市の事件では藤井被告と久保田陸斗被告(22)も実行役として起訴されている。(宮下晶)