神戸市北区で2010年、私立高2年堤将太さん(当時16歳)が刺殺された事件は4日、発生から15年となる。殺人罪に問われた当時17歳の男(32)は1、2審で懲役18年の有罪判決を受けて、最高裁に上告中だ。父・敏(さとし)さん(66)は「将太と家族の無念を晴らすために、早く被告を罪と向き合わせたい」と望んでいる。(脊尾直哉) 「生きてたら31歳。将太も結婚して、にぎやかな家庭を持てたやろうな」 自宅リビングの窓際に飾っている、凜々しい表情をした遺影を見つめ、敏さんはこうつぶやいた。 4人きょうだいの末っ子。野球とバイクが好きで、誘うと買い物についてくるような、甘えん坊だった。 歳月を重ね、兄と姉にはそれぞれ子どもができ、6人の孫を持つ祖父になった。盆や正月に家族が集まると、まるでお祭り騒ぎのようになる。そんな時でも将太さんが頭に浮かぶ。「ここにいるはずの将来が奪われたと思うと、悔しくてしょうがない」