広島県警が非行少年5グループを新たに認定 集団暴走や犯罪、暴力団関与も

広島県警が今年に入り「非行少年グループ」を新たに5グループ認定したことが分かった。計8グループの133人に上り、構成員はここ10年で高水準にある。交流サイト(SNS)でつながり、バイクの集団暴走や犯罪行為を繰り返している。暴力団の「面倒見」が関与する集団もあり、県警は暴力団などの「予備軍」とみて実態解明や摘発を強めている。 県警は事件捜査やパトロールで情報収集し、深夜徘徊(はいかい)や犯罪行為を重ねる3人以上の集団を認定する。昨年末は6グループの59人で、その後に半数が解散したが、今年5月と6月に新たに計5グループを認定し、構成員は2倍に増えた。 各グループは5~36人の集団。活動拠点は広島市が「一心亀(いっしんき)」など6グループ、東広島市が「鬼邪(キジャク)」、尾道市など備後地域が「紅棘狗(バラク)」の各1グループ。県警によると、商業施設の駐車場などに集合。SNSを介した緩いつながりで、暴走行為を目的として命令系統を持つという条例に基づく暴走族の認定要件は満たしていない。 これらのグループによる事件も相次ぐ。 県警は7月、JR尾道駅(尾道市)に金属バットやバールを持って集まったとして「紅棘狗」の5人を凶器準備集合容疑で逮捕。さらに集合させたとして9月17日、指定暴力団俠道会森田組組員の男(44)=同市=を凶器準備結集容疑で逮捕した。男は別の非行少年グループと抗争させようとしたとみられるという。 また9月10日、東広島署西条駅前交番(東広島市)に花火を撃ち込んだなどとして「鬼邪」の2人を威力業務妨害容疑で逮捕した。その他のグループについても騒音をまき散らす集団暴走などで摘発を進めている。 県警少年対策課は「暴力団が上納金のためにグループ名を付けさせ、結束を強めている」と分析。「広域・流動化し、暴力団や匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の予備軍のようになっている」と警戒する。 県内では「877(バナナ)グループ」と呼ばれる集団が2022~23年に勢力を拡大。他のグループを含めた構成員の総数は一時、この10年で最多の190人に迫ったが23年7月に解散し、24年は59人に減っていた。 県警は現在、呉市や三原市を拠点とする複数の集団を把握。広島市内には中学生だけのグループもあり、認定を視野に実態把握を進めている。

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