米ニューヨークの連邦地裁は先日、米人気ラッパーのディディもしくはパフ・ダディとして知られる大物音楽プロデューサーのショーン・コムズ被告(55)に禁錮4年2月と罰金50万ドル(約7372万円)を言い渡した。コムズ被告の弁護士は4日、米紙ニューヨーク・ポストに控訴する方針であると明かした。 当初、コムズ被告は5件の罪に問われていた。7月の陪審評決では、終身刑にもなり得た性的人身売買および組織犯罪共謀罪など3件については無罪となった。州境を越えて人を性行為目的で移送した罪の2件で有罪となり、10月3日の判決で、禁錮4年2か月と50万ドルの罰金を言い渡された。 弁護人のマーク・アグニフィロ氏は「数日以内に控訴通知を提出する予定だ。裁判と量刑の両方に欠陥がある。量刑の計算および刑期の決定には、陪審によって無罪とされたはずの行為が考慮に入れられている。これは法的誤りに当たるとわれわれは主張している」と述べた。 コムズ被告は、2024年の逮捕以来すでに約1年間拘束されており、実際に服役するのは残り約3年程度になる見込みだ。連邦制度には仮釈放がない。 この有罪判決は、長年にわたる虐待、操作、暴力の実態を暴いた裁判の結果だった。陪審員たちは、複数の女性がコムズ被告に薬物や酒を使って屈辱的な「フリーク・オフ」と呼ばれる性行為を強要されたと証言する生々しい内容を聞かされた。 ディディ側の弁護士は、検察が100年以上前に制定された「マン法」を誤用したと主張。マン法は、売春や違法な性的行為を目的として他州に人を移送することを連邦犯罪とするものだが、弁護側は「合意に基づく行為」と訴えた。 コムズ被告は昨年からブルックリンのメトロポリタン拘置センターに収監されているが、今後どこで刑期を過ごすかはまだ決まっていない。マイアミの刑務所への移送の可能性もあるという。 一方、コムズ被告に対する民事訴訟が次々と起こされている。3日には、新たに「ジョン・ドウ」とだけ名乗る男性が、2014年にカリフォルニアでコムズ被告が主催したパーティーで薬物を盛られ、その後、HIV陽性と診断されたと主張している。コムズの弁護団は「見え透いたナンセンス。真実はいずれ明らかになると確信している」と述べている。