「護身用品」か「凶器」か 催涙スプレーの悪用相次ぐ 持ち歩くと軽犯罪法違反の恐れも

「護身用」などとして、オンラインショップや専門店で手軽に購入できる催涙スプレーを悪用した事件が後を絶たない。暴漢や野生動物などに襲われた際に身を守るための製品だが、呼吸困難に陥るリスクもあり、正当な理由なく所持した場合には法律に抵触する恐れもある。専門家は適切な使用や管理について注意を呼びかけている。 ■周辺の広範囲に被害も…悪用相次ぐ 「客がスプレーをかけられた」 9月8日午後4時ごろ、多くの人が行きかうJR錦糸町駅(東京都墨田区)が一時、騒然とした。 駅員の110番通報で駆け付けた警察官に、傷害容疑で現行犯逮捕された自営業の男(29)は、キセル乗車を男性に注意されたことに激高し、持っていた催涙スプレーを噴射したという。直撃を受けた男性は顏の痛みなどを訴えて病院に搬送されたが、命に別条はなかった。 捜査関係者によると、男は今年初め、都内の護身用品店でスプレーを購入。「護身用に持ち歩いていた」と供述し、実際に使用したのは事件の日が初めてだったという。 催涙スプレーを巡っては、不適切な使用や犯罪への悪用が相次ぐ。 8月には、渋谷区の商業ビル「ヒカリエ」で、客同士のトラブルから40代男が催涙スプレーを噴射、近くにいた15人以上が目や喉の痛みを訴えた。江戸川区では9月、催涙スプレーを使った強盗傷害事件や傷害事件が連続発生した。 ■催涙スプレーの効果とリスク 多くの催涙スプレーには主成分として、トウガラシから抽出された天然由来の化学物質「OC」が配合され、吹きかけられると涙が止まらないほどの激痛を引き起こす。 効果は2時間ほど持続する。適切な距離を保って噴射すれば深刻なけがや後遺症の心配はないとされるが、至近距離では目を傷つけたり、深く吸い込んで呼吸困難に陥ったりするリスクもある。 護身用品の専門店やオンラインショップで購入できるが、危険性を理解した上で慎重に取り扱うことが求められる。販売店などでは、使用する際の注意点として、事前に噴射距離や使い方などを確認しておくことを呼びかけている。 ■法的責任問われる恐れも

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする