全国地域安全運動(11~20日)を前に、東京都世田谷区の北沢防犯協会や警視庁北沢署は5日、若者が多く集う下北沢駅近くで「闇バイト」の危険性を訴えた。犯罪グループが特殊詐欺の受け子や出し子、強盗の実行役をSNSで募っているためで、「一日署長」になったフリーアナウンサーの皆藤愛子さんが、自分や知人が誤って関与した際は「警察に迷わず相談して」と呼びかけた。 闇バイトのメンバーを募っているのは、SNSで緩くつながり事件を起こす「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」など。「高額収入」「ホワイト案件」「簡単な仕事」といった文言で誘う。 実際、署は今年、お年寄りのキャッシュカードを使いATMで現金を引き出したとして、当時19歳の少年を窃盗容疑で逮捕した。少年は「SNSを通じて闇バイトに応募した」などと供述したという。北沢署の原尚哉署長は「闇バイトは犯罪。SNSで甘い言葉を使って募集され、捨て駒として利用される。絶対に応募しないで」と話した。皆藤さんも一緒になって注意を呼びかけた。 匿流などはSNSでメンバーを募る際、免許証やマイナンバーカードなどを提示させる。抜け出そうとしたメンバーを「警察に通報する」「家族がどうなっても良いのか」などと脅すためだ。警視庁は10月1日付で匿流対策本部を立ち上げており、これまで以上に、匿流の中核メンバーの摘発のほか、闇バイトに応募する若者を減らす対策に力を入れていく方針だ。(三井新)