売上高を過大計上していたとして、東京地検特捜部は9日、東証グロース市場に上場していた人工知能(AI)開発「オルツ」の元社長・米倉千貴容疑者(48)ら4人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕し、発表した。 ■「AI GIJIROKU」で急成長 ほかに逮捕されたのは、いずれも旧経営陣の日置友輔(34)、浅井勝也(46)、有泉隆行(52)の3容疑者。 2014年に設立したオルツは、会議のやりとりを自動でまとめるサービス「AI GIJIROKU(議事録)」を20年に発売しAI業界で急成長したが、今春に過大計上の疑いが発覚。証券取引等監視委員会が強制調査していた。 オルツは監視委の調査と並行して、第三者委員会による調査も実施した。 今年7月に発表した調査報告書によると、オルツの普通預金は20年4~9月、月中ベースで1千万円を切るほど切迫していた。 こうした状況などから、複数の会社間で架空の売買を行って売り上げを水増しする「循環取引」の手口を使い、24年までの4年間で計119億円、売上高を過大計上した疑いがあるとした。 第三者委は業績の粉飾などについて「悪質行為」とし、「企業と投資家との信頼関係を根本から損なう」と指摘している。 同社は7月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。8月6日に開始決定を受け、同月31日付で上場廃止となった。