警察官を装った特殊詐欺事件で、京都府警伏見署が詐欺未遂の疑いで、大阪府警の元警察官の男を逮捕していたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。男は特殊詐欺グループの「受け子」とみられ、伏見署が押収したスマートフォンには本物に酷似した警察手帳とみられる画像が残っていたという。 逮捕されたのは住所不定、建設業の男(40)。捜査関係者によると、男は過去に大阪府警の警察官として勤務していた。偽の警察官をかたる特殊詐欺の手口が全国で急増する中、警察業務を知る人物が犯行に加担していた疑いが浮上した。 逮捕容疑は氏名不詳者らと共謀し、9月30日午後6時〜7時50分ごろ、京都市伏見区の男性(76)宅に「預金口座から預金が不正に引き出されており、停止する必要があるので、警察官を向かわせる」などと電話した上で、男が警察官になりすまして男性宅を訪問、キャッシュカード5枚をだまし取ろうとした疑い。不審に思った男性が110番し、男は現場から逃走していたという。逮捕は6日付。 捜査関係者によると、男は調べに対し「元警察官」などと自称。スマホに警察手帳とみられる画像が保存されていたことから京都府警が大阪府警に照会をかけ、大阪府警が警察官だったことを確認したという。 京都府警によると、偽の警察官をかたる特殊詐欺事件は府内で今年に入って8月末までに約9億8900万円の被害が確認されており、特殊詐欺の全被害額(約12億6300万円)の約8割を占める。ビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状などを示し「あなたに逮捕状が出ている」「資産を全て調査する必要がある」などと言って、現金をだまし取るケースが多いという。