ABC新人の久保光代アナウンサーに詐欺とみられる電話がかかっていたことが22日、わかった。同局『newsおかえり』(月~金曜午後3時40分)で、ABC社内で不審な相手とやりとりする久保アナの映像を取り上げた。 今月2日、警視庁捜査2課の「タナカ」と名乗る男から久保アナに電話があった。フルネーム、生年月日、以前住んでいた住所などを把握済みで、久保アナに対し『富山県警で取り調べを行い、最低20日間の拘留を請求する』と伝えて来た。事件名や事件番号をメモをするように指示した後、周囲に人がいないかを気にする様子も見せた。その後、電話は『富山県警本部』に転送され、同警察の「ミヤモト」と名乗る男が電話口に。詐欺グループの主犯「サワムラ」の自宅から久保アナのキャッシュカードが発見されたというもので、「詐欺に加担している可能性がある」と説明された。カードの当該ブランドを持っていない久保アナは、ここで詐欺を確信したという。 ここで電話を切ることなく、その後も追跡取材。久保アナが「サワムラさんは捕まってないんですか?」と聞くと、逮捕済みと返された。久保アナが「じゃあ、もういいのでは。私が罪に問われることはもうないですよね」と言うと、「罪に問われますよ」と明言。久保アナはタナカ同様に取り調べのため、富山県警に来るよう要求された。行けないと拒否すると、『ビデオ通話での取り調べを行う』と言われて富山県警本部のLINEの追加を求められた。受け入れなければ「強制捜査に切り替わります」と強気になった。 久保アナが「(逮捕)令状とかは」と聞くと、「すぐに請求できます」と返してきた。久保アナが「何の容疑で令状が出るのか教えてもらっていいですか」と尋ねると、「犯罪収益隠匿罪」と言われ、久保アナは「私、隠匿してないですけど」と伝えた。男と40分以上のやりとりをした後、久保アナは「私、ABCテレビ(社員)なんですけれども。詐欺ではないですか?」と直球質問。しかし「詐欺ではないですよ」と断言された。「それ証明できますか?」という久保アナに、富山県警本部でわかると発言。「富山県警にいま電話しましょうか?」と言うと、別端末があるかを確認された。肯定すると、なぜか別端末の電源を切るよう指示された。久保アナが、富山県警に連絡してミヤモトが在籍していれば、自身も身分を証明すると“交換条件”を出すと、電話が切られた。 『おかえり』スタッフで富山県警で確認すると、捜査2課にミヤモトなる人物はいないと回答されたという。意外にも再び電話がかかってきた。現在いる場所を聞かれた久保アナは「ABCテレビに入るんですけど、詐欺ですよね? そちら」と再度確認するも、「詐欺ではないですよ」と否定。逆に「録音してますよね?」と聞かれ、「録音ははい。カメラも回してます」と明かした久保アナは「あなた誰でしょう?」と問いかけ。「ご自身のお名前、教えていただいてもいいですか? 何のためにこんな電話をかけてるのか教えてほしいです」と立て続けに聞いたが、また電話は切られた。その後もやりとりは続いたといい、計1時間近くに及んだという。 この日、生中継の出演でスタンバイしていた久保アナは、サブキャスターの武田和歌子アナから電話がかかってきたときの気持ちを聞かれ「はじめ、警察の方から電話がかかって来て『私、何か悪いことをしてしまったのかな』と詐欺の電話と疑うことなく出てしまって、パニックになってしまいました」と振り返った。 「(第一声から相手は)深刻で、『詐欺に加担しているので、警察に捕まる状況にある』って言うことを話されて。『まずは人気のない場所で電話がしたい』と言われて、一旦、私も廊下に出て、人がいない場所に行ったんですが、話を聞いていくうちに『これは詐欺なんじゃないかな』と思って、(約10分後に)周りのスタッフに助けを求めました」と振り返った。電話は合計3回かかってたという。応じなかったが、LINEを追加するよう誘導され、追加後にどう詐欺につながるか見えず怖かったという。「もし信じ続けてしまっていたらと思うと、個人情報が流出してしまって怖いなと思います」と話した。 MCの横山太一アナから詐欺だと思った瞬間と、今後へ向けて注意点を聞かれ「住所、電話番号、名前、生年月日……、個人情報がたくさんあったところだったんですけど、前の住所だったところと、私が使っていないクレジットカードのブランドを言われたところが『おかしいな』っていうポイントでした。もし電話がかかってきてしまったら、警察だとしても疑う気持ちが大切だなと思います」と話した。番組では「“ニセ警察電話”の詐欺は増加中で、1か月で70億円を超える被害が出ているとされている」と紹介した。