昨シーズン終盤、マイク・マローンの解任を受けて暫定でナゲッツの指揮を執ったデビッド・アデルマンは、現地10月23日、敵地でのウォリアーズ戦で正式なヘッドコーチとしてのデビューを飾った。記念すべきシーズン開幕戦はニコラ・ヨキッチのトリプル・ダブルとアーロン・ゴードンの50得点、延長の末に敗れたものの、両チームが質の高いバスケを展開する素晴らしい試合だった。 試合後の会見でのアデルマンは、本来であれば自分の目指すバスケやチームの将来像、NBAのヘッドコーチとして何を実現したいかを語るはずだった。しかし、テリー・ロジアーとチャウンシー・ビラップスが逮捕される不祥事の話題一色となった。 44歳の指揮官は「とても厄介な状況だ」と語るが、若いだけにスポーツベッティングを受け入れる必要性も感じている。「他の何であれ同じことが言えるが、新しいものが世界を変える時には問題が起きる。我々は理解に努めるしかない。ベッティングはもはや我々の文化の一部であり、消えることはない。むしろ、もっとオープンに話題にすべきだと思う。会議で取り上げる機会を増やし、年間を通じて言及する。こんなことで選手やスタッフが困難な状況に陥るのを私は見たくない」 30人以上の容疑者が逮捕された今回の件にナゲッツは無関係だが、アデルマンのアシスタントコーチ陣には、ビラップスの弟であるロドニー・ビラップスがいる。ヘッドコーチに昇格し、自分のコーチングスタッフを編成する際に招き入れたロドニーに、今回の件でどう接したかと質問されると、アデルマンは「ロドニーは我々の一員だ」と答えた。「事件のことは私も報道されていることしか知らないが、家族が何かトラブルを抱えたら、その人を支えるのは当然だ」 「我々としてはリーグから示されたガイドラインを順守するだけだ」とアデルマンは続ける。「衝撃的な事件ではあるが、意見を述べるのは不公平だと思う。この厄介な状況が適切に処理され、誰にとっても最善となることを願っている。こんな形のシーズン開幕は望ましくない」 開幕2連勝を飾ったウォリアーズの指揮官、スティーブ・カーも、同じように事件のコメントを求められた。ウォリアーズは開幕の2日前にクラブの法務責任者が選手たちにガイドラインの説明を行ったという。「だから、何が許されて何が許されないのか選手たちは十分に理解している」とカーは言う。 カーはこれまでもオンラインベッティングの問題について繰り返し警鐘を鳴らしてきた。今回もロジアーやビラップスについてのコメントは避けつつも、今のNBAが直面する厄介さについて語った。「試合が終わると賭けに負けた誰かがSNSに怒りや不満のメッセージを送ってくる。合法な賭けであっても、それは好ましいものじゃない。選手たちをそんなものに直面させたくない。だが現実はそうなっている」 ロジアーもビラップスも保釈されたが、FBIの捜査はこれからまだ進み、2人の弁護士は容疑を認めない意向を表明している。今シーズンのNBAはこの問題に振り回されることになりそうだ。