「寿司ペロ」に6700万円賠償は正しかったのに…危機管理のプロがスシローの訴え取り下げを残念に思うワケ

飲食店における迷惑行為が後を絶たない。どうすればいいのか。東北大学特任教授で人事・経営コンサルタントの増沢隆太さんは「店への影響を考えると、テロと言える。バイトテロ、客テロに対し、企業はさまざまな設備投資やIT活用などで防止しようとしているが、それでは限界がある」という――。 ■なぜ回転寿司店は「客テロ」に狙われやすいのか 繰り返し炎上する飲食店における不適切行為が後を絶ちません。どんな時代でも愚かな行為をする者はいるのでしょうが、ネットで晒されたら人生を台無しにするという末路が、これだけ何度もネットニュースなどで取り上げられているのにいまだに理解できない者が毎年湧いてきます。こうした飲食店へのテロ行為ともいえる「攻撃」には、従前とは異なる対策が必要だと筆者は考えます。 回転ずしチェーン「スシロー」の醬油を直飲みする動画をSNSに上げた高校生が特定され、書類送検の結果、「スシロー」の運営会社「あきんどスシロー」が6700万円の損害賠償請求訴訟をした事件は2023年に起こりました。飲食店で働くアルバイトによる不適切行為は、2013年ごろからSNSで「バカッター行為」(当時はツイッター、現エックスが主だったため)とか「バイトテロ・客テロ」などとも呼ばれてきました。 これらはネットで拡散して炎上の末、犯人の正体が特定されて逮捕されたり、学校を退学させられたりしています。特に回転寿司店は客席が死角にもなりやすく、価格も手ごろなことから狙われやすく、寿司テロと呼ばれるほど炎上事件が多く発生しています。 ■10年以上経っても繰り返されるテロ行為 10月14日付けのくら寿司のホームページで、「山形南館店における迷惑行為につきまして」と題して、同店で寿司に触ったり、醤油をなめたりと店内で起きた迷惑行為を取り上げ、店舗の消毒などの対応や犯人の特定を報告しています。 くら寿司「山形南館店における迷惑行為につきまして」より既にネット上では正体暴きが行われ、「近隣の高校生による犯行」などといった投稿があふれています。他にもこの10月には、ラーメン「魁力屋」、ドトールコーヒーなどで、店舗のアルバイトによる食品を使ったいたずらなどがSNSで拡散し、会社が対応に追われています。犯罪行為を、SNSで全世界に発信する行為は全くやんでいません。2013年からはもう10年以上たっているのに、です。

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