【10月27日 KOREA WAVE】カンボジアに拠点を置く大規模な「ロマンス詐欺」組織の実態が明らかになってきた。組織を統率していたのは、かつて韓国国内で活動していた1980年代生まれの元暴力団関係者だった。 KBSの報道によると、事件の主犯格である韓国人男性は2024年初めにカンボジアへ渡航し、中国人投資家らの資金を得て詐欺組織を1年以上にわたり運営していたとされる。オンラインサイト「デジタル刑務所」の運営者によれば、この人物は韓国内で暴力団に所属しており、以前から詐欺的手口に関与していたという。 詐欺組織には、主に借金を抱える若年男性や韓国内で犯罪を犯して逃亡中の者などがインターネットを通じて集められた。組織はメンバーに対し薬物を投与し、その様子を録画して証拠とし、離脱しようとする者を「警察に通報する」と脅して拘束していた。 犯罪拠点内には電気ショック器などの拷問用具が常備されており、初期の教育段階では「失敗すると電気拷問を受ける」といった脅迫が横行していたとの証言がある。 この組織では、男性構成員が女性になりすましてターゲットに近づく手口が使われ、多数の被害者から金銭を巻き上げていた。被害額は30億ウォン(約3億円)以上に上るとされる。詐欺に遭った韓国人男性の一人は「借金を返せない罪悪感でうつ病になり、今も薬を服用している」と語っている。 韓国警察は2025年3月に通報を受けて捜査を開始し、10月15日に国内にいる共犯者1人を逮捕・拘束。関連先の家宅捜索も実施した。主犯格の男は現在もカンボジアに滞在しているとみられており、警察は現地当局との協力体制で捜査を進めている。 また、韓国からカンボジアに人材を送り込んでいた30代のブローカー男性も新たに浮上している。この男は1人あたり100ドルの報酬を得て、1回につき5〜10人を同行させる形で渡航させ、月収は最大で1000万ウォンに達したと証言している。 男性は2015年から2020年までの5年間、毎月3〜4回のペースで合計1000人以上の韓国人をカンボジアに送り込んだと明かした。きっかけは現地で犯罪組織と接触したことだったと述べ、組織内での拘束や拷問の実態については「知らなかった」と主張している。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News