執念の鑑識 命を守る交通 県民の警察官 今年の受賞者の横顔 山形県警4人が受賞

山形県民の安全安心のために日夜、地道に活動している警察官を称える山形新聞・山形放送の「県民の警察官」。2回にわたって今年度の受賞者の横顔を紹介します。1回目は南陽警察署刑事課の黒沢貴義警部補と県警本部交通機動隊の井上直昭警部補の2人です。 指紋や足跡など犯人の痕跡を採取する方法を若手警察官に丁寧に教えているのは、南陽警察署刑事課の黒沢貴義警部補(54)です。 指導「このまま写真で撮ってもななめになったりするので粘着紙で採取する作業が必要になる」 1996年に警察官になった黒沢さんは、最も長い14年間、鑑識畑を歩んできました。 黒沢警部補「大学の時に化学を専攻していて元々鑑識というものに興味があって警察官になって鑑識をしてみたいと思い志望した」 黒沢さんが警察官人生のなかで最も印象に残っている事件は、2006年に飯豊町で発生した一家3人殺傷事件。鑑識係に初めて配属されおよそ1か月後の出来事でした。 黒沢警部補「家じゅう血まみれで凄惨な現場だった。ああいった現場を見ると犯人を逮捕しなければならない野放しにしてはおけないと思った」 黒沢さんは現場で百か所以上の場所から血液を採取し、犯人の行動歴を割り出しました。この執念の捜査が検察側の証拠として裁判で役立てられました。 近年は後輩の育成にも力を入れている黒沢さん。地道で根気が必要な鑑識という仕事では、作業の必要性を丁寧に説明し、納得してもらってから指導を行うことを心がけています。 黒沢警部補「なぜ行うのかどのように行うのか理由・理屈をきちんと教えるように努力している。きちんとした資料を採取して犯人につなげられる警察官になってほしい」 現場で学んだ鑑識のノウハウを次の世代へ伝えつつ、黒沢さんは捜査の第一線に立ち続けます。 交通機動隊小隊長の井上直昭警部補(49)。1994年に警察官になった井上さんは、20年以上にわたり交通部門を担当。イベントでの先導のほか、可搬式オービス、速度違反取締装置のプロフェッショナルとして交通の取り締まりに従事してきました。 交通機動隊小隊長 井上直昭警部補「パトカーや白バイに乗ってみたいという小さい頃の夢をずっと持ち続けて高校を卒業して警察官になった」 ことし(2025年)から交通機動隊の小隊長として後身の育成にも力を尽くしています。 職場「この時間とか5時だともう暗くなっているので薄暮の事故抑止になるのかなと」 そんな井上警部補が交通安全への思いを強くした原点は、警察官として9年目の冬に担当した事故でした。 井上警部補「20代の頃なんですけど警察署で交通事故の係をやっていました。勤務している時に横断歩道を渡っていた小学生が車にはねられた事故がありました」 当時小学3年生だった女子児童が横断歩道で車にはねられ亡くなった事故。 井上警部補「加害者の取り調べを担当して最初に被害者が亡くなったことを告げた。そうすると被疑者は泣き崩れた。交通事故というのは幼い命が無くなってしまったその家族の苦しみ悲しみというのは言葉にはできないと思うが加害者の方も同じように自分の人生が狂ってしまい善良な市民が過失で加害者になりうる。県民にとって最も身近な犯罪なのかなということを実感した」 県民の安全を守るため井上警部補は事故防止に取り組みます。

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