長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の融資金をだまし取ったとして、福岡県警は28日、北九州市小倉北区の建設・不動産会社役員、石井隆道(58)、鹿児島県湧水町の無職江頭将光(しょうこう)(35)の両容疑者ら男5人を詐欺の疑いで逮捕し、発表した。 融資を申し込んだ実行役とされる江頭容疑者は、別人になりすますため僧侶を装い、改名していたという。 発表によると、5人の逮捕容疑は共謀して2023年2~6月、虚偽の勤務先や年収を記した借り入れ申込書をつくり、2023年2月~6月に金融機関から「フラット35」の融資金計約4460万円をだまし取ったというもの。県警は捜査に支障があるとして、5人の認否を明らかにしていない。 江頭容疑者の以前の名は「将仁(まさと)」だった。石井容疑者の指示を受けた僧侶を通じ、修行の経験がないのに22年11月に「得度証」を得て、出家を装った。 その上で裁判所に氏名変更許可を申し立て、「将光」に改名した。県警は、氏名変更をしやすくするため僧侶を装ったとみている。 さらに飲食関連社員として収入があるかのように偽装し、源泉徴収票など必要書類を得ていたという。捜査幹部は「人間のロンダリング(洗浄)がなされた」と話す。 容疑者らは実際に福岡県内に戸建ての家を建てたが、ローンの申し込みのために作った工事見積書では、建築費が水増しされていたという。 県警が別の組織犯罪の事件を捜査しているなかで、今回の5人に関する詐欺の容疑が浮上した、としている。(田中久稔)