賃貸物件の空室に現金を送付させ、だまし取ったとして、警視庁特別捜査課は、詐欺の疑いで、指定暴力団住吉会系幹部の山下正博容疑者(44)=東京都世田谷区=と同組員の岩切博信容疑者(35)=同台東区=を逮捕した。認否を明らかにしていない。 特捜課によると、山下容疑者らは、不動産仲介業者の50代の男=別の詐欺未遂幇助(ほうじょ)罪で起訴=を通じ、不動産業者が利用するサイトで空室の内見を予約。合鍵の場所などの情報を入手し、部屋に届いた現金を別の共犯者に受け取らせていた。 空室を悪用した同様の手口による被害は昨年1年間で約80件、約11億円に上るとみられ、警視庁は全容解明を進める。 2人の逮捕容疑は令和6年7月、セキュリティー協会の職員を装う電話で、静岡県の60代男性に「あなたの携帯電話が原因で、ウイルスに感染した人から被害届が出ている。保険に加入すれば弁護士が話を進める」などと話し、「保険料」などとして現金300万円を東京都練馬区内のアパートの空室に送付させ、だまし取ったとしている。