人身取引の12歳、33日間で60人の客 「いやだ、やりたくない」

東京都文京区の「マッサージ店」で働いていたタイ国籍の12歳の少女が保護された事件があり、少女は約1カ月のうちに約60人の客を相手にさせられていたことが、警視庁への取材でわかった。売り上げは約62万7千円で、店の経営者の男や母親側にわたっていたという。 保安課によると、細野正之容疑者(51)=東京都調布市=は6月27日~7月29日、経営する文京区湯島3丁目の店舗で、少女に接客業務をさせたという労働基準法違反(最低年齢)の疑いで4日に逮捕された。同課は認否を明らかにしていない。 警視庁が摘発した外国人の人身取引被害者としては最年少だという。 少女の警視庁への説明などによると、少女はタイで妹と祖父母と暮らしながら、公立中学校に通っていた。母親は性的サービスを伴う「出稼ぎ」の仕事をしており、普段は離れて暮らしていた。 ■性的サービス、別の店でも強いられたか 母親から「日本に行って仕事をする」と言われ、6月27日に一緒に来日。その後、店で性的サービスをやらされていた。少女は性的サービスの知識がなく「いやだ、やりたくない」と思ったが、母親の指示に従わざるを得なかったという。母親は7月11日に一人で出国した。 日本に一人残された少女は7月29日までの33日間で約60人の男性客を相手にして売り上げは約62万7千円だった。全額が経営者の男にわたり、店の取り分を引いた残りが、男の口座から母親の関係者名義の口座に送金されていた。 少女は8月にこの店を辞め、それ以降は、母親から紹介された都外の店で性的サービスを伴う仕事をしていた。少女は「私が働かなければ家族が生活できなくなると思った」と話しているという。 だが、次第に母親が迎えに来ることはないと思い始めた。9月中旬に「タイに帰りたい。祖父母や妹に会いたい。中学校に通いたい」と思い、東京都港区の東京出入国在留管理局に向かった。入管では「タイに帰りたい」と申告した。捕まる覚悟だったという。 少女は、人身取引の被害者として保護された。警察のほか、入管当局、タイ大使館、国際移住機関(IOM)などが連携して対応しているという。(太田原奈都乃)

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