愛子内親王がラオスを公式訪問される背景には何があるか。皇室史に詳しい島田裕巳さんは「海外公式訪問のデビューとしてはかなりの大役であり、社会主義国であるラオスから招かれたことに『皇室外交』の真骨頂が示されている」という――。 ■外交関係70周年を記念するラオスからの招待 愛子内親王は11月17日、ラオスに出発する。22日まで滞在の予定で、初の単独での海外訪問である。10日には、その報告のために、東京都八王子市の武蔵陵墓地を訪れ、昭和天皇の葬られた武蔵野陵と香淳皇后の武蔵野東陵を参拝している。 愛子内親王は大学を卒業後、精力的に公務をこなすようになり、国内では各地で国民の前にその姿を現すようになってきたものの、海外訪問は今回が初めてである。しかも、海外を訪れること自体、これまで多くを経験していない。2006年に一家でオランダを訪問したことと、2018年夏にイギリスの名門校「イートン校」のサマースクールに短期留学したことがあるだけである。 皇族としては、意外に海外経験が乏しいとも言えるが、今回は、海外公式訪問のデビューとしてはかなりの大役である。日本とラオスの外交関係樹立70周年を記念しての招待になり、トンルン国家主席への表敬訪問や副主席主催の晩餐会に臨むほか、ラオス北部にある世界遺産都市のルアンパバーンを訪れ、寺院などの視察も予定されている。 ■「準国賓」として招かれる愛子さま 注目されるのは、ラオス側が愛子内親王に対して国家元首に準ずる接遇を行うと発表していることである。晩餐会が用意されているのもそのためで、一般には「準国賓」としての扱いだと報道されている。 国賓とは、政府が最高の礼遇をもって公式に招待する外国の元首やこれに準じる人物のことである。具体的には国王や大統領、国家主席などが該当する。日本が国賓を迎える場合、政府が受け入れにかかる費用の一部を負担し、皇室による歓迎行事、天皇との会見、宮中晩餐会などが催される。これにはかなりの予算がかかることから、毎年国賓は1〜2組に限定されている。 その点で、愛子内親王が準国賓としてラオスに招かれたことは、皇室外交という観点からしてかなり重要なことになる。天皇家に生まれた唯一の内親王であることが、そうした扱いを生んでいるに違いない。 ではなぜ、初の海外公式訪問の地としてラオスが選ばれたのだろうか。