中国サイトから流通の玩具銃 ゲーセン景品で拡大、警察が回収呼びかけもハードル

小ぶりでカラフルというおもちゃのような外見ながら、実際は真正拳銃と同様の殺傷能力を有する「玩具銃」の流通に歯止めがかかっていない。令和4年に海外サイトなどを経由して国内に入り込み、最近はゲームセンターの景品としても輸入されるなど、入手のハードルは高くない。警察当局は回収を進めるが、危険性を認識しないまま所持しているケースも多いとみられ、思うようには進んでいない。 ■中国から輸入、倉庫から発送 警察庁によると、玩具銃は4年6月に国内で初めて確認され、現状は17種類に上っている。 このうち、今年に流通が判明した最新型の「リアルギミックミニリボルバー」は、全長約12センチのプラスチック製。説明書きに「対象年齢12才以上」とあり、プラ製の弾丸が8発付属する。青や緑などのカラフルな外見で約1万5800丁が出回ったという。 玩具銃全体の流通量は拡大傾向にあるとみられる。同庁によると、昨年に押収された拳銃394丁のうち、約16%(64丁)が玩具銃。今年は9月末現在(暫定値)で400丁中、約40%(156丁)に達している。 事件も相次いでいる。 警視庁は10月、拳銃マニアとみられる千葉県の男を所持容疑で逮捕。今月には、勤務先の大阪府内の会社倉庫で所持したとして、中国籍の男を書類送検した。 中国籍の男は、中国から玩具銃などを輸入して倉庫に一時保管し、購入者に発送していたとみられる。男は日本における顧客応対の窓口役だった疑いがあり、同庁が他にも関与者がいるとみて実態解明を進めている。 ■「景品」に抜け穴か なぜ、流入が止められないのか。 リアルギミックミニリボルバーのケースでは、兵庫県警などの捜査で、同銃が昨年末、中国から日本の31道府県、約80社に卸されていたことが分かった。主にゲームセンターの景品を扱う会社で、景品として各地に広がったとみられる。 日本大危機管理学部の福田充教授によると、銃の形状をした本物の玩具である「トイガン」の国内メーカーや小売店は、安全協会に加盟しており、商品は基準を満たしているかチェックを受ける仕組みになっている。 一方、祭りの露店などに陳列されている商品は、店やメーカー側が未加盟の場合も多く、規制の目が届かないという。

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