エルサレム・ポスト紙コラムニストのジョナサン・スパイヤーが、10月27日付けウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説で、イランが主導するシーア派勢力は過去2年間で弱体化したが、代わりにトルコやカタールというスンニ派イスラム原理主義勢力が台頭しており、イスラム原理主義勢力との戦いは続くとの見通しを示している。要旨は次の通り。 2年間続いたガザの紛争は停戦したが、中東地域に根本的変化は起きていない。各勢力間の対峙は、ある程度変化したが、シリアのアサド政権の崩壊以外に反西側勢力は完全に敗北していない。 つまり、ガザの衝突以降、はっきりしたのは、中東には3つの勢力があることだ。第1の勢力にはイスラエルが属している米国の同盟国と米国に協力して過激主義に対抗している勢力、そして、第2の勢力は、主に非スンニ派でイランが組織しており、これにはレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクのシーア派民兵、(崩壊した)シリアのアサド政権、パレスチナのハマスとパレスチナ聖戦(PIJ)が含まれ、その目的は米国を中東から排除し、イスラエルを破壊することにある。 第3の勢力はトルコとカタールだが、スンニ派のイスラム原理主義勢力であり、米国と曖昧な関係を有している。この勢力は公式には西側と同盟しているが、域内のスンニ派原理主義勢力や過激派に様々な支援を行っている。支援の対象には、ハマスやシリアのHTS(シャーム解放機構)、エジプトのムスリム同胞団が含まれる。 過去2年間のガザの紛争は、イランが主導する勢力と米国の支援を受けたイスラエルとの衝突であった。その結果、イランとその同盟者は大きなダメージを受けた。 つまり、イランはイスラエルと米国に打ちのめされ、その核開発計画はダメージを受けた。レバノンのヒズボラは多くの指導者達が殺害され、そのミサイルは破壊された。 イエメンのフーシ派に対しては、イスラエルの空爆が鉄槌を下し、イラクのシーア派民兵も弱体化した。そして、ハマスとPIJは、甚大な損害を被り、ガザの大部分を明け渡した。しかし、彼等は、かなりの被害を受けたが、再建しようとしている。