特殊詐欺被害10億円超、警察官かたりが8割 石川県警が対策強化へ

石川県内で確認された特殊詐欺被害が今年に入って10億円を超えたことが県警のまとめでわかった。昨年の5倍のペースにのぼるという。スマートフォンを介した被害も目立つ中、県警はサイバーセキュリティー会社と連携し、アプリを使った対策強化に乗り出す。 県警によると、今年10月末までに187件、計約10億6800万円の被害を認知した。特に警察官をかたってだます手口が多く、被害額ベースで8割の計約8億6300万円(75件)を占めた。 なかには、警察官や検察官らを名乗る人物からの電話で「特殊詐欺事件の主犯を逮捕し、あなたの通帳が発見された」「あなたが犯罪を行っていないことを証明する必要がある」などと言われ、60代女性が計3億円を詐取されるケースもあった。 被害者の年齢層は20代が35人(19%)と最も多かった。ただ被害額が膨らむ前に気づく事例が目立つという。50代が32人、60代が31人と続いた。特殊詐欺のうち、SNSを介した投資・ロマンス詐欺では被害者130人中、50~60代で68人(52%)を占めた。 スマホへの電話やメッセージでだまされる事例を受け、県警はトレンドマイクロ社の詐欺防止アプリ「詐欺バスター」の活用を呼びかける。国際電話や詐欺の疑いがあると判断した番号からの着信を切断・ブロックする機能がある。 さらに有料版は、利用者に届いたメッセージをAIが解析して詐欺の可能性を判定する機能も搭載。不審なサイトにアクセスしようとすると、ブロックもされるという。 県警の竹本邦夫・生活安全部長は「手口が巧妙化、多様化し続けている。被害を1件でも減らすため、未然防止の取り組みを推進する」と話した。(杜宇萱)

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