最後まで諦めることなく全力で捜査 『県民の警察官』県警生活安全企画課・石井健一警部補 秋田

ライブニュースあきたでは、長年にわたり秋田県民の生活を守り続けてきた警察官を表彰する「県民の警察官」に選ばれた2人を紹介しています。2回目は秋田県警察本部生活安全企画課の石井健一警部補です。 仕事の合間に車の中で黙々とあんぱんを食べるのは、県警察本部生活安全企画課の石井健一警部補(55)です。 「いつも昼食は妻の弁当を職場で食べている」と話す石井警部補は、36年間の警察官人生のうち17年間を生活安全部門に従事し、ストーカーやDV被害、それに近年被害が急増している特殊詐欺の防止などに取り組んできました。 現在は、営業支援指導係長として風俗営業の許可などを担当しています。この日は県内の風俗営業店の管理者に、営業する上で守るべき法律や注意事項などを説明していました。 石井健一警部補: 「過去3年の指示処分の主な内容は、許可証紛失のため許可証を掲示していなかった、従業者名簿を備え付けていないなど。適正な営業をよろしくお願いします」 能代市の高校を卒業後、1989年に巡査を拝命した石井警部補。交番などで地域警察官として地域の安全・安心を守り続けたほか、“交通警察の花形”ともいわれる白バイ隊員として交通違反の取り締まりに尽力してきました。 石井警部補が警察官を志したのは、ある人の存在がきっかけでした。 石井健一警部補: 「私の父親が地元で交通安全運動の活動をしていたり防犯協会にも所属していたりした関係で、地元の駐在所の警察官と親交があった。そのため、私が進路を決める際に私もやってみたいと思った」 17年前に生活安全部門に配属され、様々な事案に対応してきた石井警部補。警察官人生で大きな転機となったのは、今から13年前、42歳の時に北秋田警察署で担当したヤミ金事件です。 2011年、北秋田市の高齢女性が違法な金融業者からインターネットで金を借り、その後高額な金利を何度も請求され警察に相談しました。 石井警部補がこの事件を担当すると、女性は数十万円の被害を受けていたことが判明。その後の半年間にわたる執念で、神奈川県に住む1人の男が捜査線上に浮上しました。 石井警部補らは、この男の自宅や関係先など複数の家宅捜索を実施。その後さらに裏付け捜査を進めるため、男の身柄を秋田に移し取り調べを行いました。 それまでは県内での事案がほとんどで県外に捜査に出るなど経験したことがなかった石井警部補。「もし男が黙秘したら…」そう考えただけで不安や緊張で眠りの浅い日が続いたといいます。 そんな時に先輩警察官から「根気よく話を聞いて真実を追求するように」と言葉をかけられました。 石井さんは、男の生い立ちや犯行に及んだ理由などを根気よく聞きました。すると男は次第に事件のことを語り始め、逮捕に至ったといいます。 この出来事は、石井さんの警察官としての自信やその後の事件捜査の支えにつながっています。 石井健一警部補: 「事件の被疑者を検挙したり、問題や相談事が解決して県民から『ありがとうございました』と言葉をもらった時が一番やりがいを感じる。最後まで諦めることなく、全力で捜査を進めることが大切だと思っている」 諦めない気力を維持するためには体力が何よりも大切と考える石井警部補。時間を見つけては県警察本部にあるトレーニングルームで黙々と走り込み、体を鍛えています。 何歳になっても努力を惜しまないその姿は、後輩たちにも伝わっていました。 鹿角隼人巡査部長: 「冗談みたいなことも言って非常に場を和ませてくれるし、仕事になると私の悩みを相談すると一緒に親身になってくれるので、非常に頼りになる上司」 「県民が納得できるように親切・丁寧に説明をして届け出を受理することが大切だと指導している」と語る石井警部補。その静かな情熱は、これからも秋田の安全を見守り続けます。 「県民の警察官」の表彰式は、28日に秋田市で行われます。

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