王将社長射殺事件、きょう初公判 同社元幹部が被害者の大東さんと事件への思いを語る

「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が平成25年に射殺された事件で、殺人罪などで起訴された特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59)の初公判が26日午後、京都地裁で開かれる。大東さんとともに働いた同社元幹部の男性は今も「社長はなぜ殺されなければならなかったのか」との思いを抱き、公判や今後の捜査で事件の全容が解明されることを望んでいる。 「すごく働き者で、王将が大好きな人でした」 産経新聞の取材に応じた男性は、経営を建て直すためともに汗を流した大東さんをしのんだ。 男性によると、大東さんは平成12年の社長就任後、経営の多角化で迷走していた同社を「中華一本」に方針転換。店舗の客席から調理の様子が見られるオープンキッチンを導入するなど改革を進め、低迷した業績をV字回復させた。 社内では外部採用の社員にも生え抜き社員と分け隔てなく接し、社員の行動規範やコンプライアンス宣言を制定。ライバル店の調査にも自ら足を運び、男性に「まだうちの方がうまい」と笑顔を見せたという。 創業家一族と企業グループの間で繰り返された不適切取引を巡る不良債権処理では、大東さんが「俺じゃなきゃできない」と清算に奔走。調査報告書が完成した約1カ月後に射殺された。 男性は出勤中に同僚から電話で事件を知らされ、情報が錯綜(さくそう)する中で捜査に協力。9年後の令和4年に田中被告が逮捕されたが「悔しさで今でも当時のことが夢に出てくる」と明かす。26日午後に始まる公判の行方を見守る一方、「なぜ殺されなければならなかったのか。それが分からないようでは社長に報告できない」と、今後の捜査で事件の全容が解明されることを求めている。(東九龍)

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