東京都足立区梅島で盗難車が暴走し11人が死傷した事故で、横断歩道を渡っていた女性(28)=死亡=を最初にはねた際、車は時速約70キロで走行していたとみられることが26日、捜査関係者への取材で分かった。 車の窃盗容疑で逮捕された男(37)が「車をガードレールや人にぶつけた」と話していることも判明。警視庁は、男がひき逃げ事故を起こしたとみて詳しく調べている。 捜査関係者によると、後続車のドライブレコーダーの映像などを確認したところ、盗難車は赤信号で横断歩道に突っ込んだ際、時速約70キロだったとみられ、ブレーキランプは点灯していなかった。女性をはねた後も、歩道を時速約60キロで走行したとみられ、男性(81)=死亡=を含む4人を次々とはねた後、車道に戻ってトラックなどへの玉突き事故を起こして停止した。 男は自動車販売店から車を盗んだとして逮捕されたが、容疑を否認。一方で「店の周りを一周し、神奈川県内の山に行く途中で事故を起こした」と説明。「車をガードレールや人にぶつけてしまい、最後は車が動かなくなった」「私自身が安全な場所に行かないといけないと思い、歩いて自宅に帰った」などと話しているという。 同庁は25日、男の自宅を捜索し、車のパンフレットなどを押収した。男の刑事責任能力を調べるとともに、道交法違反(ひき逃げ)や自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いも視野に捜査する。 事故は24日午後0時半ごろ発生。2人が死亡し、9人が重軽傷を負った。 男の母親は26日、取材に応じ、「被害者の方に申し訳ないという一言だけだ」と話した。