確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会について、再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉秀子さん(92)は26日、事件の教訓が生かされた議論になっていないとして「あてにならない」と懸念を示した。証拠開示のあり方などを巡り、日本弁護士連合会側と学者や検察・裁判所側の間で意見が対立しており、検察・裁判所寄りの結論とならないようくぎを刺した形だ。 法務省で開かれた部会終了後、秀子さんが記者会見した。部会は日弁連側の委員が再審請求審での幅広い証拠開示を求め、検察・裁判所側の委員が反対する構図となっている。 袴田さんは1966年に静岡県で発生した一家4人殺害事件で逮捕・起訴され、最高裁で死刑が確定したものの、第2次再審請求で再審開始が認められ、2024年10月に再審無罪判決が確定した。秀子さんは「証拠は検察官だけのものではなく、オープンにすべきだ。(検察側の)抗告も禁止にしてもらいたい。これでは巌が何のために47年間も拘置所に入っていたのか分からない」と訴えた。 26日の部会は14項目ある論点のうち、事件の確定審に関わった裁判官を再審請求審の担当から外すべきかなどが議題となった。法務省は法制審から答申を得た上で、来年の通常国会に改正法案を提出することを目指しているが、議論は平行線となっている。【巽賢司、三上健太郎】