香港の高層住宅群で大規模火災、少なくとも44人死亡 279人が行方不明

香港・大埔区の高層住宅群で26日午後、大規模な火災が発生し、27日朝までに少なくとも44人の死亡が確認された。警察は279人が行方不明だとしている。現地メディアは、一部の住民が建物内に閉じ込められたと伝えている。現地当局は27日朝の時点で、鎮火の見通しは立っていないとしている。 当局などによると、火災は午後2時51分(日本時間午後3時51分)に、高層住宅群「宏福苑(Wang Fuk Court)」で発生。消防当局は午後6時22分に、火災として最も深刻なレベル「5」に分類した。 出火時の現場写真では、炎と灰色の煙が高層住宅から立ち上り、一帯の上空を覆っていたことがわかる。 消防隊員760人以上が消火活動にあたった。身元が確認された死者には、消防士ホー・ワイホーさん(37)も含まれている。現場で連絡が途絶え、約30分後に倒れているのが発見された。 現地メディアによると、火災に関連して男性3人が過失致死の疑いで逮捕され、捜査が進められている。 原因はまだ不明。高層住宅は改修工事中で、建物の外側に竹製の足場が組まれていた。それが炎の急速な拡大につながったとみられている。 多くの人が病院に運ばれており、45人が重体とされる。負傷者はいくつかの区の病院に搬送されている。 救助活動は、猛烈な炎と危険ながれきによって妨げられた。 香港消防局のデレク・アームストロング・チャン副局長は、「建物内は温度が非常に高く、中に入ることや(中略)上階に行って消火や救助をするのはかなり難しい」と話した。 2021年の政府の調査によると、火災があった高層住宅群「宏福苑」は1983年の建設。全8棟の1984戸に約4600人が住んでいる。今回の火災では7棟が影響を受けている。 現地メディアは一部の住民の話として、火災報知器が鳴らなかったと伝えた。また、エレベーターが停止したため、住民らは避難に苦労したと報じた。地元議員によると、住民の多くは高齢者だという。 26日夜の時点では、建物内部で爆発音が聞こえたとの報道もあった。高層住宅は31階建てで、ホースを上層階に届かせるのに苦しんでいるとも報じられた。 現地メディアによると、香港保安局のクリス・タン局長は、火災の急速な拡大について不審な点があるとの見方を示した。窓にポリスチレンのシートが張られていたことなどを指している。 警察は近隣の建物の住民らも避難させた。周辺には複数の仮設避難所が開設された。 ある避難所の担当者はAFP通信に対し、深夜になっても住民らが次々と行方不明の家族を届け出ているため、正確な行方不明者の人数は不明だと話した。 現場周辺には大規模な避難区域が設定された。香港運輸局によると、一部の道路が閉鎖され、バス路線30以上で迂回(うかい)運行をしている。 中国の習近平国家主席は、犠牲者への哀悼の意を表明するとともに、消火と、被害の最小化に向けてあらゆる努力をするよう求めた。国営メディアが報じた。 香港では、竹製の足場の使用は一般的。世界的には、建設現場でこうした足場を使っている都市は数少ない。 現地メディアは3月、政府の開発局が安全上の懸念から、竹製の足場を段階的に廃止し、金属製の足場への移行を推進していると報じた。 香港でレベル5の火災が発生したのは2008年以来。このときは、1962年に建設された商業ビル「嘉禾大廈(コーンウォール・コート)」が全焼し、4人が死亡した。 (英語記事 At least 44 dead and hundreds missing after fire engulfs Hong Kong tower blocks)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする