暗闇の中、建物から空へ向かい伸びる激しい炎。 大量の煙も立ち上ると同時に、火の粉が地面に向かって落ちているのが分かります。 日本時間26日午後4時ごろ、香港北部の高層住宅が密集した団地で大規模な火災が発生。 現場の団地には、32階建ての高層住宅8棟、約4000人以上が生活をしていて、うち7棟に火は燃え広がりました。 火災発生後の映像では、大量の黒煙が立ち上っているのが分かります。 画面右側では、はしご車を使い、激しく燃えている部分へ放水も行われています。 しかし、時間が進むにつれ、黒煙の量はどんどん増え、赤く燃える炎も激しくなっていきます。 日が暮れ始めると、燃えている部分がさらに多くなり、夜にはマンションの大部分から巨大な炎が上がっていました。 火災発生から時間が経過するにつれ激しさを増す炎。 画面左に見える住宅がより一層激しく燃え始めました。 団地に住む男性は、自宅にいた妻との連絡が取れなくなっていると話します。 団地に住む男性: 火事が起きた時、電話で妻に逃げるよう言ったが、彼女が家を出ると廊下や階段は全て煙で満たされ暗闇になっていたので、仕方なく自宅に戻るしかなかった。 さらに、大勢の友人などが安否不明だといいます。 団地に住む男性: 打ちのめされています。隣人や友人がたくさんいます。もう何が起きているのか分かりません。知り合いには幼い子供や高齢者もいます。電話をしたら、まだ建物の中に閉じ込められていると。 夜通しの消火活動が行われていますが、出火から24時間以上がたった今も3棟の火が消し止められておらず、煙は上がり続けています。 この大規模火災で、これまでに消防士1人を含む55人の死亡が確認されました。 また、消防当局によりますと、72人が病院に搬送され、うち15人が重体。 現在も連絡が取れていない人が279人いるということです。 現場の周辺には多くの消防車や消防士などが懸命な消火活動にあたっています。 李家超長官: 140台以上の消防車と60台以上の救急車を投入しました。800人以上の消防士と救急隊員が動員されています。 現場となった高層住宅では修繕工事が行われていて、足場には燃えやすい“竹”が使用されていました。 香港では、竹が建設作業用の足場に使われることが多く、地元メディアは、この竹の足場から火の粉が風で燃え移ったとの見方を伝えています。 香港当局は、工事を担当していた業者の取締役ら3人を過失致死の疑いで逮捕したと発表しています。 外壁を覆っていた防護ネットなどが防火基準を満たしていなかったほか、エレベーターホールの窓の外側が可燃性の発泡スチロールで覆われていたため火災が急速に拡大した可能性があるということです。 木原官房長官は27日午前の会見で、「香港の大規模火災で被害に遭った日本人は現在のところいない」としています。 一方で、28日から2日間、香港で開催予定の世界最大級のK-POP授賞式に関心が集まっています。 会場は火災現場から車で20分ほどの場所で、SNSでは会場を訪れる予定の日本人観光客から、「今日の夜から香港に行く予定だった。現地の人が心配」「今更、飛行機もホテルもキャンセルできない。中止になっても行くしかない」など不安の声が上がっています。 26日に発生した火災は、24時間以上たった27日午後4時半現在も消火活動が続けられています。 SNSには、炎と黒煙が建物からまっすぐ伸びている様子や火災発生直後と思われる映像などが投稿されています。 火災現場となった住宅に住んでいた人たちは、「見ているだけでも心が痛い、悲しい。今夜は住むところがなくなった。外で過ごすしかない。早く火を消してほしい」「20年以上前に購入した。全てのお金を使って買ったが、燃えたら何も残らない」と話しました。 また、別の住人は「火災報知器が鳴らなかった」と訴えています。