香港高層住宅火災、死者55人に 工事責任者を過失致死容疑で逮捕

香港北部・新界地区の大埔の高層マンション群で26日午後2時50分(日本時間同3時50分)ごろ出火し、大規模な火災が発生した。香港メディアによると、27日夕までに消防士1人を含む55人が死亡した。279人と連絡が取れておらず、犠牲者がさらに増える可能性がある。 香港メディアによると、香港で起きた火災としては1996年に41人が死亡した九竜地区の商業ビル火災を上回り、過去最悪の規模となった。現場を視察した香港政府トップの李家超行政長官は「巨大な災害」だとして消火と行方不明者の捜索に全力を挙げるよう指示した。 現場は30階を超える計8棟の公営の高層マンションが建つ区画。8棟のうち7棟が燃えた。27日夕時点で4棟が鎮火、3棟が鎮圧状態となっている。マンションは83年に完成し、計2000戸に約4600人が住んでいたとみられている。在香港日本総領事館によると、日本人が巻き込まれたとの情報はない。 8棟の一部では2024年7月から修繕工事が行われており、外壁に沿って竹で足場が組まれ、保護用の大きなネットがかけられていた。各階の窓の一部も可燃性の発泡材で覆われていた。 出火原因は特定されていないが、これらの資材が激しく燃え、乾燥した空気と風の影響もあって速い速度で燃え広がった。香港当局は発泡材が延焼の拡大につながったとみている。ネットなども防火基準を満たしていなかった疑いがあるという。 警察は27日までに工事を担当した業者の責任者3人を過失致死の疑いで逮捕した。工事の防火管理に問題があったとみて捜査を進めている。安くて軽い竹製の足場は香港の工事現場で多用されている。当局は今春、安全上の問題があるとして段階的に廃止する措置を発表したところだった。【香港・林哲平、北京・畠山哲郎】

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