【AFP=時事】国際人権団体は3日、2026年サッカーW杯北中米大会の抽選会開催を前に、ドナルド・トランプ米大統領の強硬な移民政策が大会に影を落とす可能性を警告した。 アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)、全米自由人権協会(ACLU)などの人権団体は、米国内のスタジアム周辺での強制捜査に懸念を示し、国際サッカー連盟(FIFA)に対して労働者、ファン、ジャーナリストを守るという約束を果たすよう求めた。北中米W杯は26年6月から7月にかけて、米国、メキシコ、カナダで共催される。 HRWの報告によれば、移民・税関執行局(ICE)は今年1月から10月にW杯開催都市近郊で9万2000人以上を逮捕した。また、今年7月に米国で開催されたクラブW杯決勝前には、亡命希望者が拘束された事例も指摘された。 トランプ氏は大量追放政策の一環として、シカゴやロサンゼルスといった開催都市に州兵を派遣している。 HRWのミンキー・ウォーデン氏は、ハイチからの移民に対する一時的な法的保護の撤回に特に懸念を示している。ハイチは約半世紀ぶりにW杯の出場権を獲得している。 ACLUの人権プログラム・ディレクターを務めるジャミル・ダクワー氏は、「これらの政策はコミュニティーを危険にさらし、大会そのものの品位を損なう恐れがある」とし、「今日行動を起こさなければ、FIFAは権威主義の舞台となるリスクを抱えることになる」と続けた。 さらに団体は、海外記者の入国、労働者やファンへの虐待、差別からの保護についても警告している。アトランタで行われたクラブW杯の試合では、同性愛嫌悪のチャントが歌われた。 問題を複雑にしているのは、トランプ氏とFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長の密接な関係だ。インファンティーノ氏は、繰り返しホワイトハウスを訪問している。 5日に行われる抽選会では、初の「FIFA平和賞」が発表される予定となっていて、その受賞者はトランプ氏になるのではないかとの臆測が流れている。 全米黒人地位向上協会(NAACP)のジャマル・ワトキンス氏は「関係があまりにも密接すぎる」とし、「インファンティーノ氏がドナルド・トランプ氏と連携すれば、文字通り、この政権から出てくるすべての慣行や政策が容認されるというシグナルを、米国だけでなく世界に対して送ることになる」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News