「サンタはいんちき」 パレードルート沿いの貼り紙がカナダで物議、警察に苦情も

カナダ・オンタリオ州の街で先月29日、毎年恒例のサンタクロース・パレードが開催された。そのルート沿いで、住宅の窓に「サンタはいんちきだ」などと書かれた貼り紙が掲示されたことから、市民らが警察に通報。警察は、眉をひそめる気持ちはわかるが、違法行為とまではいえないと市民に説明している。 物議を醸した貼り紙は、トロントの西103キロに位置するブラントフォードで開催されたサンタクロース・パレードで掲示された。 ソーシャルメディアに投稿された画像では、住宅の窓ガラスにカラフルな紙が4枚貼られているのがわかる。それぞれに黒色のペンで、「サンタはいんちきだ」、「きみの両親がサンタだ」、「サンタは存在しない」、「きみの家族がプレゼントを買っている」と書かれている。 警察によると、「住民からいくつかの苦情の電話」があり、掲示した人物に撤去を求めたという。 警察の広報担当は、「(クリスマスの楽しみを台無しにしようとするキャラクターの)『グリンチ』になることは違法ではありません。ですが、特にサンタクロース・パレードのようなイベント中は、誰もがその意味や精神を受け入れて、前向きで温かいコミュニティーづくりに関わることを奨励します」と述べた。 警察はまた、法律で言論の自由が保障されており、貼り紙は個人宅でのことでもあって、掲示は違法ではないと説明している、とカナダ放送協会(CBC)は伝えている。 ■憤る人に対する疑問の声も ソーシャルメディアには、貼り紙に失望する声も上がった。フェイスブックに「まったくもって不愉快」だと書き込む人もいた。 一方で、掲示物に憤る人々に疑問を呈する人もいた。「こんなことで警察に電話する人がいるなんて信じられない」と、ユーザーの1人は投稿した。 ブラントフォードでは毎年、伝統的なサンタクロース・パレードが開催されている。地元メディアによると、今年は約3万人が集まった。例年通りの観客数だという。 祝祭の雰囲気を台無しにする人物に警察が対応したのは、今回が初めてではない。2018年にはアメリカ・テキサス州クリーバーンの教会の外で、「サンタクロースはいない」などと子どもたちに話した抗議者が逮捕された。 この人物は、立ち去るよう求められたが拒否し、不法侵入罪で起訴された。 当時のクリーバーン市長スコット・ケイン氏は、この町は「サンタクロースが大好きだ」と強調した。 「抗議者たちには、良い子のリストに載るどころか、(悪い子へのプレゼントの)大きな石炭の塊をもらうことになるだろうと気づいてほしい」と、ケイン氏は付け加えた。 1979年には、ヴェトナム戦争の退役軍人リチャード・ディルディ氏が、カナダ・トロント中心部のショッピングモールの外で抗議活動を行い、騒乱容疑で逮捕された。 当時の複数の画像には、「サンタを倒せ!」と書かれた掲示物を首から下げるディルディ氏が写っている。 逮捕の翌日、地元紙トロント・トゥデイは、ディルディ氏を「グリンチ」と呼んだが、同氏は動じなかった。 「子どもにうそをつくのをやめるべきだと言いたかっただけだ」と、同氏は地元紙トロント・スターに語った。 (英語記事 Santa signs prompt calls to police in Canadian city)

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