【AFP=時事】香港バプテスト大学(香港浸会大学、HKBU)は、高層住宅火災の犠牲者を哀悼し、犠牲者のために正義実現を求めるメッセージがキャンパス内に掲示されたことを受け、学生会に活動停止を命じた。学生会が5日にソーシャルメディアで公開した書簡で明らかになった。 大埔区の高層住宅「宏福苑」で先週発生した火災では、少なくとも159人が死亡し、1980年以降で最悪の住宅火災となった。 HKBUは、学生会執行委員会の活動を即時「停止」し、施設を接収すると発表した 大学側は、代表者の不足や財務管理の不備などを理由に挙げているが、学生会側はこれらを「根拠がなく恣意(しい)的」だと批判している。 学生会は声明で、「大学の不合理な措置は、今回の強制的な活動停止の背後に隠された動機があるのではないかとの懸念を抱かせる」と述べた。 ソーシャルメディアユーザーらは2日、学生会が運営する「民主の壁」と呼ばれる掲示板に掲示されたメッセージの写真を拡散した。 署名のないメッセージは、火災の犠牲者に哀悼の意を表するもので、「私たちは香港人だ。政府には国民の要求に耳を傾け、正義を実現するよう強く求める」と書かれていた。 AFP記者が3日に確認した時、掲示板は高いバリケードで隠されていた。 HKBUの学生ケビンさんはこの時AFPの取材に対し、掲示板のメッセージは「前向き」なもので、隠される前は通りかかった学生たちの注目を集めていたと語った。 AFPは大学側に何度もコメントを求めたが、回答は得られていない。 当局は「(高層住宅火災という)悲劇を悪用する」犯罪に対して警告を発しており、火災の後、少なくとも3人を扇動罪の容疑で逮捕したとされる。 香港で大学の学生会はかつて政治活動の温床となり、2019年に同市で発生した大規模で時に暴力的な民主化デモにも関与した。 中国政府が2020年に香港国家安全維持法(国安法)を施行すると、学生会は活動を縮小、停止された。国安法は、反対意見を封殺するものだと批判されている。【翻訳編集】 AFPBB News